吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



あゆみトラスト・ホールディングス

フライデーのいつかはゆかしに関する記事の論調が賛否両論ですと!?

久しぶりのいつかはゆかしネタです。

アブラハム・プライベートバンク社のメディア掲載一覧に「『月5万円×30年で老後資金1億円』は本当か?」が掲載されました。とあるように、FRiDAYにいつかはゆかしが取り上げられています。

これについては、いつかはゆかしの公式ブログアブラハム社社長の高岡氏のブログでもでも取り上げており、以下のように書いております。

いつかはゆかし公式ブログ
「いつかは ゆかし」に関する賛成意見、反対意見の両論を紹介した上で、最後に読者の皆様に判断を求めるというスタンスでした。弊社の主張に加え、経済評論家の山崎元様、中央大学で金融工学ご専門の藤田教授、投資教育家の岡本和久様がコメントされています。

アブラハムグループ社長ブログ
記事内容も、賛成意見と反対意見の両方が載っており、
読者が判断しやすく論点がフェアに整理されていました。


賛成意見と反対意見の両方が載っているかのように思えます……と、記事を読んだことがない人にはあたかも支持者がいるかのような記述になっていますが、実体は異なります。


FRIDAYの記事における登場人物は4者です。

(1) アブラハム社 高岡氏
(2) 山崎氏
(3) 藤田氏
(4) 岡本氏


アブラハム社の高岡氏は当然に自社の商品を徹底的に褒め称えます。

問題は残り3者のいつかはゆかしに対する意見です。

【山崎氏】
一般論として、年10%の利回りで30年間、コンスタントに運用するなど無理な話です。
「すごい運用のノウハウがあるんだ」というなら、おカネを借りてでも自分で運用するのが金融の世界の常識。ですが宣伝費を使って会員を集め、あくまで投資指南をしているというなら、理由は少々分かりませんね

真っ向から否定的な意見です。
「30年間で年平均10%は無理。」「本当にそんなノウハウがあるなら自分で運用する(自分でやらないで相談料を集めているなら…)」と完全に否定しています。


【藤田氏】
利回り10%を達成できる確率を1年というスパンで考えたものですが、45%の確率でマイナス10%の元本割れを起こすのです。投資助言を謳うのなら、そうしたリスクも明らかにすべきでしょう

こちらも単年度のリターンですら10%を狙うと45%の確率で-10%のマイナスになるギャンブルだと否定的です。
(高岡氏はこれに反論しています。)


【岡本氏】
世界の経済全体で言えば、人口は増え、発展途上国の生活水準も上がり、インフラ投資も進むでしょう。世界の主要産業、企業の成長分くらいのリターンは期待できると考えられます。

賛否もない、無関係でした。
世界経済や投資一般における期待リターンのお話で、いつかはゆかしというサービスのお話はしていません。


ブログでは【記事内容も、賛成意見と反対意見の両方が載っており、読者が判断しやすく論点がフェアに整理されていました。】と書いてありますが、FRIDAYの記事内には反対意見が2つで賛成意見はどこにもありません。
もちろん商品の売り手側の高岡氏は味方ですが、普通は自分自身をカウントしないですよね…


賛成意見がない記事に対して賛成意見があると書くことにはどういう狙いがあるのでしょうか。
記事を読んでいない人に、反対意見ばかりではなく賛成意見もあったとアピールする狙いでしょうか。


FRIDAYの記事そのものはよくある批判記事で特筆すべきことでもなかったのですが、それに対するアブラハム社の解釈が非常に興味深い案件でした。







【いつかはゆかし徹底検証番外編】ハンサードのファンドの成績を比較してみた

先のいつかはゆかしネタで話題にしたハンサードのファンドについてパフォーマンスを調べてみます。

比較期間は最新(2013/3/14)の5年間パフォーマンスとします。


まずは基本アセットということで以下の5カテゴリーで比較をしてみたい。
 (1)世界株式
 (2)先進国株式
 (3)新興国株
 (4)日本株
 (5)米国株


が…ハンサードのファンドリストを見ると先進国株式に相当するファンドが見当たらず(2)先進国株式は断念。


「いつかは ゆかし」が「積立したい商品」ランキングで第1位に選ばれたという記事では以下のように好成績ファンドの情報が載っていたので、そのファンドも是非とも対象に加えたい。
ゆかしNo.1

グラフを見ると2007年9月~2012年9月で年率換算15.34%ということなので、該当ファンドをハンサードのファンドリストで探すとHIL Castlestone Aliquot Gold Bullionでした。
ハンサードの2012年10月3日のファンド一覧表で見ると、全ファンド中1位で5年リターンが+104.97%(年率換算15.43%)なので、このファンドで間違いないでしょう。

HIL Castlestone Aliquot Gold Bullionが属する以下カテゴリーも比較対象にします。
 (6)Gold

なお、2007年9月末〜2012年9月末のSPDR Goldのリターンは+133.83%であり、HIL Castlestone Aliquot Gold BullionはETFに対しては-32%ほどアンダーパフォームです。(あっ、やめて!「何だよ、いつかはゆかしで一番リターンの良い商品ってのは日本のネット証券で買える市場平均を目指すETFより-30%も成績悪いのかよ。ダメファンドじゃん」とか言わないで…)


また、惜しくもHIL Castlestone Aliquot Gold Bullionには敗れていますが、HIL Fidelity Thailandも2012年9月までの5年間で+90.49%の成績を残しており、これら上位2ファンドが3位以下に圧倒的な差をつけています。そこで、このHIL Fidelity Thailandも比較対象に加えます。
 (7)タイ株


比較対象には主だったインデックスファンド/ETFを使います。
(1)世界株式、(2)新興国株、(3)日本株、(4)米国株、(5)Gold、(6)タイ株の6カテゴリで比較します。

HIL_Fund_Comparison

*海外ETFのデータはYahoo!Financeから終値(配当含まず)
*日本の投信のデータはは基準価額(分配金含まず)
*世界株式はETF設定が2008/3/28からだったので、そこからのデータ
*タイ株はETF設定が2008/4/1からだったので、そこからのデータ


比較結果は上記のとおりです。
タイ株でHIL Fidelity ThailandがETFを40%近く超過するという圧勝に終わりましたが、各カテゴリ内の勝ち負けでは5勝1敗とインデックスファンド/ETF陣営の勝利です。

仮にこの6カテゴリに等額投資して5年後の成績を見ると以下のようになります。
 ●インデックスファンド/ETF : +31.56%
 ●ハンサードのファンド : +25.38%
ちょうど5年間のコスト差で説明がつきそうな差になりました。

「代表的な株式アセット」及び「好成績だったファンド」という6カテゴリのみの比較なので偏りが考えられ、この程度の差で結論を出すには不十分ですが、少なくともインデックスを大幅に超過して儲けることはそう簡単ではなさそうな結果に見えます。



【いつかはゆかし徹底検証番外編】年平均10%で30年間の可能性をハンサードの実績で検証

いつかはゆかし徹底検証の番外編です。

いつかはゆかしでは「年利10%で月5万円を30年間積立すると1億円」という数字が目標として出てきます。

そこで、「5万円の積立で1億円(リターン年平均10%)の実現性はどんなものか、ハンサード(Hansard International Limited)のファンドで見てみます。
本日使う資料はTony's Personal Blogに掲載されていた2013年3月5日時点のハンサードのファンドのパフォーマンスです。

余談ですが、最近の日本の株高を受けてか6か月のパフォーマンスでは日本株を扱うHIL Japan Equity (JP Morgan Japan Equity)が+33.8%でHIL JPMorgan Philippineに次ぐ2番目の高パフォーマンスです。


本題。
資料を見ると120本のファンドがあります。そして、丁寧にCompoud Average(リターンの年平均換算)が記載されています。
ここで取り扱いファンドの平均的なパフォーマンスが10%程度であれば、ここにあるファンドを使っての投資での期待リターン(過去の実績からの推定)が10%と言えるかもしれません。
※過去の実績で将来を語れるか…という真っ当なツッコミは今回は無視します
※単純化のため税金が~とか、bidとaskのスプレッドが~とかも無視します


しかし、120本の中には新設ファンドも多く、トラックレコードがほとんどないものもあり、ハンサードもCompound Averageをn/aとしているモノも多数あります。
そこで120本のうち、Compound Averageがn/aでない79本を取り出して、1%刻みで分布させてみると以下の通り。
Hansard_chart
なお、面倒くさいのでこちらにならい日本からの投資においても通貨を円建て換算せずに資料の数字をそのまま使っています。

年平均リターンの最高は13.71%、10%を超えたファンドは79本中4本、リターンの平均と中央値は以下の通りです。
hansard_heikin
※参考:わたしのインデックスでMSCI All Country World Index (ACWI)インデックスを見と最長の20年の年平均リターンは7.7%

仮に「30年間」ずっと「10%」のリターンを目指すの?(「いつかは ゆかし」公式ブログ)にある【そのようなお客様には長期的に高収益を狙えるよう、投資開始時は15%程度の期待リターンを目指しポートフォリオをご提案しています。】のように意識が高いというか、志が高い場合には、最高でも13.71%に過ぎないこれらのファンドは全滅です。

あくまでハンサード過去の実績から判断しただけなので一般化はできませんが、ハンサードであれば取り扱いファンドの上位10%のようにかなり巧くファンドをチョイスしないと年平均10%は難しそうですし、ハンサードの外でも30年間で年平均10%はそう簡単ではなさそうです。

※参考:長期の日本円の主な通貨に対する為替レートの長期推移



いつかはゆかし徹底検証 - シミュレーションはいつかはゆかしと無関係?

アブラハム・プライベートバンク「いつかは ゆかし」に対する一部ブロガーによる悪質なデマに対して、被害届の提出を検討という興味深いプレスリリースを出していました。

「被害届を提出」ではなく、「被害届の提出を検討」でプレスリリースを出すのか?という疑問が真っ先に浮かびましたが、それは余談。
一部ブロガーとアブラハム・プライベートバンクのやり取りもゴシップ的な興味もありますが、それもおまけ。

気になったのは下記の部分。
1.無料シミュレーションと当社有償サービスの意図的な刷り替え
「いつかは ゆかし」の公式サイトでは、積立投資の複利効果を説明するために「無料シミュレーション・サービス」をサイト上で提供しておりますが、当該ブロガーは、この「無料シミュレーション・サービス」の話を意図的に当社サービス(有償の投資助言サービス)で提案している内容と混同させ、「誇大広告」であるとあえて誤解させようとしております。当社は、シミュレーションには誤解を防ぐために必要な説明文を添えることによりシミュレーションと実際の投資が混同されないよう明記しております。また、ご入会後のお客様に対して、シミュレーションだけではなく、投資に係るリスク・コスト・税金等について説明し、十分にご理解頂いた上で投資判断を行って頂くということが重要であるとの認識のもと、お客様に対して投資助言サービスを提供しております。
 参考) http://blog.itsukaha-yucasee.jp/about/840/

アブラハム・プライベートバンクのプレスリリースによると「無料シミュレーション・サービス」をサイト上で提供しているが、いつかはゆかし等の有償投資助言サービスとは関係ないということです。
そして、それを関係あるかのように主張するブロガーは意図的な刷り替えを行っているという主張です。


徹底検証シリーズ担当としてはシミュレーションどうなっているかをしっかり検証すべきだろうということで、しっかり確認してみます。

【シミュレーションの流れ】
シミュレーション開始

年齢・金額入力

結果表示
※最後の画像はクリックで拡大


結論から書くと、これで無関係というのは厳しいんじゃないだろうか。

最初のページで【「いつかはゆかし」をはじめる年齢、投資金額を入力すると何年後に自分年金1億円の資産が形成できるかが分かります。】と書いてあります。

次のページでも【何歳で「いつかはゆかし」をはじめますか?】【毎月、何万円積み立てますか?】ですし、いつかはゆかしのシミュレーションだと思う方が多いでしょう。

最後の結果ページにおいても【XX歳から月X万円積み立てた場合のシミュレーション】【あなたが65歳の時に、xxx,xxx,xxx円になります。】【さあ、あなたも「いつかはゆかし」をはじめてみましょう。】と書いてあります。

プレスリリースでは「シミュレーションには誤解を防ぐために必要な説明文を添えることによりシミュレーションと実際の投資が混同されないよう明記しております。」と書いていますが、それは最後の結果のページのみに表示され、しかも以下のようにフォントサイズは目立たないように小さくなっています。
Simulation Font Size


いつかはゆかしと関係ない積立投資の複利効果を説明用の「無料シミュレーション・サービス」というのであれば、いつかはゆかしという文言は外されていた方がよいですね。
そして、シミュレーションの注意書きは開始ページにもあった方が良いでしょう。


●生命保険に置き換えて考えてみる
 (1) 生命保険会社のシミュレーションで【当社のXX定期生命保険にX歳から加入しますか?】と聞いて
 (2) 【毎月の支払額は月額X,XXX円です。さあ、あなたも●●定期生命保険に加入しましょう】と書いて
 (3) 「このシミュレーションは当社の保険とは関係ありません」

このロジックには無茶があるように思います。


法令解釈に関しては金融庁や司法の話になりますが、上記のような表現で「2つは別物で混同されては困る」という主張が通るものでしょうか。



いつかはゆかし徹底検証 - アブラハム・プライベートバンクの財務・経営状況

※以下を読むにあたっては「アブラハム・プライベートバンクはアブラハム・グループ・ホールディングの100%子会社であること」にご留意ください


「いつかはゆかし徹底検証」の第4弾です。

今回はアブラハム・プライベートバンクの財務・経営状況にフォーカスします。

「いつかはゆかし」は「30年間で1億円を作ろう」というように、長期間にわたる積立投資(助言)サービスです。そうすると「いつかはゆかし」及びそれを提供するアブラハム・プライベートバンクの継続性が気になります。
ベンチャー企業に限りませんが、革新的(?)なサービスを打ち出すものの行き詰まりから「撤退」もしくは「会社がなくなる」のはよく聞く話です。
しかし、調べようとするといきなり壁にぶち当たります。サービスの内容も開示されていなければ、会社の財務状況も公開されていません。

そこで見つけた貴重な資料が、先日の「いつかはゆかし徹底検証 - 本当の投資顧問契約額はいくら?」でも紹介した日本投資顧問業協会『投資助言・代理会員台帳』です。

実は先日のブログで取り上げた【8. 投資顧問契約契約の契約件数及び契約資産額】の上に【7. 財務状況(会員の法的性格に従い記載する】とあります。
ここにアブラハム・プライベートバンク株式会社の「営業収益」「うち投資助言報酬」「うち代理・媒介手数料」「経常損益」「当期純利益」「純資産」という貴重な情報が載っています。

また、ひとつ前の平成23年版の投資助言・代理会員台帳は以下のURLにあります。
 ・http://www.jiaa.or.jp/profile/pdf/jogen23/a.pdf


これで平成22年7月及び平成23年7月という2年分のアブラハム・プライベートバンクの財務状況の一端を表す数字が出そろいましたのでまとめてみました。

abraham_zaimu

ベンチャーにはありがちなことですが財務状況が盤石とは言えないように見えます。

●ポイント1:純資産がマイナス
グループ会社なので単体で結論を出すのは早計ですが、単独で見た時には債務超過です。
平成22年にはすでに純資産がマイナスですが、平成23年には減収&15名の社員増という規模拡大のためか年間純損失が拡大して、純資産のマイナスが年間収益の倍近い額になっています。


●ポイント2:投資助言報酬の減少
フローに目を移すと、売上の減少、特に投資助言報酬の減少が目につきます。金額で1570.3万円、率にして42%の減収です。

先のエントリーで言及したように読み方に謎があるグラフですが、「投資助言契約額累計の推移」では累計額は右肩上がりに増えていますが、投資助言報酬は減少しています。
Abraham_h2307

ベンチャーでは「売上が伸びているが赤字続き」ということは多いですが、減収というのはかなり痛手でしょう。大震災の影響も多少はあったのかもしれません。(投資信託の残高等を見ていると投資資金に対する影響は小さそうですが)
最近はマス向けの「いつかはゆかし」を立ち上げて前面に押し出していますが新しいサービスです。平成23年7月には「いつかはゆかし」は存在せず、「ゆかしスタイル」こそが投資助言サービスであったと思われます。この収益の減少を見るとなかなか思うように収益が伸びず・・・といった状況だったようにも見えます。


●おまけ:グループ全体の事業・収益構造(を見える限りで整理)
グループ全体での財務状況は分かりませんが、アブラハム・グループ・ホールディングスの事業内容のページを見ると「ゆかしスタイル」「いつかはゆかし」「海外ファンド救済センター」がアブラハム・プライベートバンクの事業とのことなので、事業状況を分かる限りで整理すると以下のようになるでしょうか。
abraham_jigyou
左二つの箱の事業主体は分かりませんが、プライベートクラブ「YUCASEE(ゆかし)」は会員から料金は一切取っていないとのことですし、「海外投資新聞」「YUCASEE Media」も特に有料ではありませんので、ここから得られる収入は広告収入でしょうか。
アブラハム・グループ・ホールディングスを頂点とするグループの収益は左2つの箱の広告収入 & 右2つの箱の投資助言フィーとなりそうです。(ここに書かれていない収益源はあるかもしれません)


平成24年7月期の決算は公開情報がないので分かりませんが、どうなっているのでしょうか。



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
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