水瀬ケンイチさんの梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーのポートフォリオの債券クラスに外国債券クラスを組み込むべきかどうかでコメントさせていただいたことを契機に、少し自分の考えを書いてみます。
外国債券に投資する意義はリスク低減
外国債券投資することで期待されることは分散効果によるリスク低減です。他アセット(日本株、日本債券、外国株、REIT…等)同士にも言えることですが、外国債券は他アセットと同じ値動きをしません。ですから、分散投資の基本セオリーどおり、外国債券を組み入れることはリスク資産ポートフォリオのリスクを低減します。
中には外国債券は為替リスクが大きいのでリスク低減ならないかのように思われる方もいるかもしれませんが、これは違います。外国債券アセット単体のリスクがそれほど小さくなくても、他アセットとの非連動性によって分散効果によるリスク低減効果が望めます。トヨタ株単体で持つよりも他のリスクの高い株式もたくさん含めたTOPIX銘柄全部に投資した方がリスクが低いのと同じで、リスクが低くない外国債券を組み入れても全体のリスクを低減させることが可能です。
なお、外国債券に関しては期待リターンの向上は考えていません。期待リターンは国内債券とほぼ同じと考えています。このあたりの考え方は山崎元氏の説明がよくまとまっていますので、そちらを参照してください。
[注意]
許容リスクがあまりにも低い人は外国債券を組み入れるべきではありません。もある程度のリスクを許容できる人の中での話です。
外国債券に投資すべきか
外国債券に投資することで期待されることはリスク低減と書きました。
それでは外国債券に投資すべきだろうか?
これは個人の判断になるでしょう。
外国債券に限らず、債券は株式より期待リターンが低いとされます。
株式の方がリターンが高い理由として、過去のデータを使う説明もあります。また、企業にお金を出すときに元本非保証で万が一の時の弁済順位が低い株式の方が、元本保証かつ弁済順位の高い債権(債券)より期待リターンが高くないとおかしいという理論を使う説明もあります。いずれにしても私も株式の方が債券より期待リターンは高いという前提に立っています。
前置きが長くなりましたが、債券は株式よりリターンが低いとすると、外国債券に投資することは期待リターンを落とすことになります。つまり、「外国債券に投資することで得られる分散効果の効用」が「外国債券に投資することで失う期待リターンの効用」を上回るならば投資すべきということです。
しかし、その判断をする場合には、指数そのものの期待リターンは使い物になりません。実質的な期待リターンが重要であり、コストが問題になります。
外国の債券に直接分散投資するのは外国株同様に大きな金額が必要になるので簡単にはいきません。また、日本国内から簡単にアクセスできる外国債券は多くありません。そのために外国債券投資の基本スタイルは投資信託やETFなどを通じて投資することになります。ここでコストが問題として浮上します。
わたしのインデックスのシティグループ 世界国債インデックスのデータ(2009年10月末までの20年)の数字だと、コストを一切考慮しない債券の年次期待リターンは5.1%です。
5.1%の期待リターンで分散効果が得られるならば、悪くない投資対象だと思います。しかし、現実はそれほど甘くなくコスト分だけパフォーマンスが劣化します。
投資信託ならば、STAMグローバル債券が課税前の保有コストで0.7%弱かかります。2009年11月末時点では表面上の信託報酬が最安のeMAXIS(0.63%)でもファンドの運用で取られるコストは0.65%程度にはなるでしょう。それに税金がかかってきます。
ETFmならば、外債ETFは信託報酬が0.2625%ですが、毎月分配で金利分が分配されることが想定されるので、投信に比べて税負担が大きくなる可能性が高くなります。
このように考えると、外国債券インデックスの期待リターン5.1%に対して無視できないくらいのコストがかかることが分かります。
国内債券は投資信託でも信託報酬は0.42%であり、0.2%程度外国債券よりコストが低くなっています。また、国内債券は為替の影響を受けない分だけリスクが低い。
表面上の期待リターンはほぼ同じで、リスクが極めて低く、コストが安い国内債券を差し置いてコストが高い外国債券に投資する価値があるのか?ここで
YESと言う人が外国債券に投資すべきで、ここでNOと言う人は外国債券には投資しなくていい気がします。
外国債券に投資する意義はリスク低減
外国債券投資することで期待されることは分散効果によるリスク低減です。他アセット(日本株、日本債券、外国株、REIT…等)同士にも言えることですが、外国債券は他アセットと同じ値動きをしません。ですから、分散投資の基本セオリーどおり、外国債券を組み入れることはリスク資産ポートフォリオのリスクを低減します。
中には外国債券は為替リスクが大きいのでリスク低減ならないかのように思われる方もいるかもしれませんが、これは違います。外国債券アセット単体のリスクがそれほど小さくなくても、他アセットとの非連動性によって分散効果によるリスク低減効果が望めます。トヨタ株単体で持つよりも他のリスクの高い株式もたくさん含めたTOPIX銘柄全部に投資した方がリスクが低いのと同じで、リスクが低くない外国債券を組み入れても全体のリスクを低減させることが可能です。
なお、外国債券に関しては期待リターンの向上は考えていません。期待リターンは国内債券とほぼ同じと考えています。このあたりの考え方は山崎元氏の説明がよくまとまっていますので、そちらを参照してください。
[注意]
許容リスクがあまりにも低い人は外国債券を組み入れるべきではありません。もある程度のリスクを許容できる人の中での話です。
外国債券に投資すべきか
外国債券に投資することで期待されることはリスク低減と書きました。
それでは外国債券に投資すべきだろうか?
これは個人の判断になるでしょう。
外国債券に限らず、債券は株式より期待リターンが低いとされます。
株式の方がリターンが高い理由として、過去のデータを使う説明もあります。また、企業にお金を出すときに元本非保証で万が一の時の弁済順位が低い株式の方が、元本保証かつ弁済順位の高い債権(債券)より期待リターンが高くないとおかしいという理論を使う説明もあります。いずれにしても私も株式の方が債券より期待リターンは高いという前提に立っています。
前置きが長くなりましたが、債券は株式よりリターンが低いとすると、外国債券に投資することは期待リターンを落とすことになります。つまり、「外国債券に投資することで得られる分散効果の効用」が「外国債券に投資することで失う期待リターンの効用」を上回るならば投資すべきということです。
しかし、その判断をする場合には、指数そのものの期待リターンは使い物になりません。実質的な期待リターンが重要であり、コストが問題になります。
外国の債券に直接分散投資するのは外国株同様に大きな金額が必要になるので簡単にはいきません。また、日本国内から簡単にアクセスできる外国債券は多くありません。そのために外国債券投資の基本スタイルは投資信託やETFなどを通じて投資することになります。ここでコストが問題として浮上します。
わたしのインデックスのシティグループ 世界国債インデックスのデータ(2009年10月末までの20年)の数字だと、コストを一切考慮しない債券の年次期待リターンは5.1%です。
5.1%の期待リターンで分散効果が得られるならば、悪くない投資対象だと思います。しかし、現実はそれほど甘くなくコスト分だけパフォーマンスが劣化します。
投資信託ならば、STAMグローバル債券が課税前の保有コストで0.7%弱かかります。2009年11月末時点では表面上の信託報酬が最安のeMAXIS(0.63%)でもファンドの運用で取られるコストは0.65%程度にはなるでしょう。それに税金がかかってきます。
ETFmならば、外債ETFは信託報酬が0.2625%ですが、毎月分配で金利分が分配されることが想定されるので、投信に比べて税負担が大きくなる可能性が高くなります。
このように考えると、外国債券インデックスの期待リターン5.1%に対して無視できないくらいのコストがかかることが分かります。
国内債券は投資信託でも信託報酬は0.42%であり、0.2%程度外国債券よりコストが低くなっています。また、国内債券は為替の影響を受けない分だけリスクが低い。
表面上の期待リターンはほぼ同じで、リスクが極めて低く、コストが安い国内債券を差し置いてコストが高い外国債券に投資する価値があるのか?ここで
YESと言う人が外国債券に投資すべきで、ここでNOと言う人は外国債券には投資しなくていい気がします。