COVID-19が中国やアジアからアメリカ・ヨーロッパへと感染の舞台を移して数週間が過ぎました。世界的にこのウイルスの影響をようやく認識したのか株価も大きく下げています。
そんな中,投資関係で私が気になっていることの一つがレバレッジ型の投資信託やETF。
「次回 "レバレッジ投信散る" 君は、生き延びることができるか?」
■iFreeレバレッジシリーズ,レバレッジ米国株ETFの状況
日本では近年,大和投信がiFreeブランドで「iFree レバレッジ S&P500」「iFree レバレッジ NASDAQ100」などのインデックスにレバレッジを利かせて高いリターンを狙う商品が登場しています。
また,同じく近年増えている米国株式アセット投資でも,米国株に投資する投信・ETFや個別株だけではなく,レバレッジを利かせたETFに投資をする投資家もいます。具体的には,テクノロジー株の3倍レバレッジの「TECL」,S&P500の3倍レバレッジの「SPXL」などが人気でしょうか。
これらの商品,昨今の好調相場を受けてレバレッジが追い風になって非常に高いリターンを出していました。それもあってこれらの商品にここ最近は大きめの資金流入がありました。
しかし,ここ最近の下落相場ではレバレッジがマイナス方向に作用しており,つらい状況です。
【iFreeレバレッジ】
【SPXL/TECL】
ここ最近の好調相場で投資に目覚めて儲かる方向にばかり目がいって,これらのレバレッジ投信・ETFを買ってしまった投資家の場合,今の急激なマイナスの状況に耐えられるのでしょうか?
売り手側も,つい最近まではここ10年くらいのチャートを書いても右肩上がりでしたので,レバレッジ投信・ETFを売りやすい状況にありました。このようなことがあった後,この手の商品を同じように売れるのでしょうか。だいぶ売りにくくなったと思われます。
■グローバル3倍3分法ファンドとグローバル5.5倍バランスファンド
一時期,マニアの間で話題になった(らしい)「グローバル3倍3分法ファンド」も以下の図のように債券を200%持つという少し変則的ですが,3倍のレバレッジファンドです。こちら,交付目論見書に「一般に、値動きの異なる複数の資産に分散投資を行なうことで、運用効率(リスクあたりの リターン)が上昇し、価格変動リスクの低減とリターンの安定化が期待できます。」とあるように株式と債券などの異なる値動きによるリスク低減を狙っているファンドです。
しかし,市場の値動きはそう単純ではありませんでした。この株安で逃げた資金が債券に向かわず債券も売られ,債券価格も下がりました。
つまり,株も下がれば,レバレッジをかけた債券部分もマイナス方向に動いたためショックを緩和できず,以下のように2月21日の13,604円から1か月後の3月19日までで8,559円と約37%のマイナスです。
このファンドも値上がりしだしてから資金が集まり,値下がりした3月19日時点でも2,870億円の資金を集めています。多くの投資家がかなりの含み損を抱えている可能性がありますが,どうなるでしょうか?
最後にもう一つ注目のファンドに触れておきます。
ファンドの運用としては3倍3分法よりもヤバイのが「グローバル5.5倍バランスファンド」です。3倍3分法で成功した日興が2匹目のドジョウを狙って,さらにレバレッジを強化したファンドをこの2月12日に設定しました。
株式100%,債券400%と非常に強気なレバレッジです。(REIT/Goldの25%ずつは何のためにあるのか不明です。ゴーゴーという相性のための50%?)
異なる値動きでリスクの低減を図る想定という事ですが,100%の株式も400%の債券も下がったわけですから堪らない。設定来で見せ場がないままに5,997円と約40%のマイナスに沈んでいます。
これ,見せ場もなければ,相場急落時のリスク低減効果も発揮されなかったという状況なので,売れる商品でないようにも思えてしまいます。
沈み続ける相場はないと思うので,上記のレバレッジ投信・ETFも長期で保有し続けていれば相場回復で浮上することは考えられますが,今の急激なマイナスに投資家も販売側もどこまで耐えられるでしょうか。
今が相場の底で反転すればいいですが,さらに-10%, -20%…となった場合にはかなり厳しいように思いますが如何に。
第10話「次回 "レバレッジ投信散る" 君は、生き延びることができるか?」
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