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また最近一部界隈で<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドが他の同じインデックスに連動するインデックスファンドと比較して動きが乖離しているということが話題に上がりました。

具体的に起きている現象は日次の基準価額の値動きでニッセイだけが他の先進国インデックスファンドと騰落率が離れていることがあるという話です。


以前には2016年11月にも同じようなことがありました。この時には、この乖離に対する臨時の説明も発行されました。(内容は読んでもよく理解できないものでしたが)


インデックスファンドの運用は「インデックスにできるだけ連動することが良い」とされおり,この基準で評価をするとニッセイアセットマネジメントの外国株式インデックスファンドの運用は他の運用会社に比べて下手と言えるでしょう。
どうしてこうなっているのかは分かりませんが、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは上にも下にも他のファンドと少し違った値動きをすることがあるようです。


長期国際分散投資のインデックス投資家はほとんど気にすることはない

それではインデックス投資家は「上下への乖離が時々発生するインデックスへの連動性がイマイチなファンド」をどう考えるべきなのでしょうか?

仮に長期国際分散投資という意味でインデックス投資をしているのであれば,ほとんど気にすることはないと思います。他インデックスファンドと比較して日次のトラッキングが劣っていることが,長期国際分散投資において問題になるのかが重要です。

上にも下にもランダムにぶれるという話であれば,特に期待リターンは変わりません。リスクも他のファンド以上に値上がり/値下がりすることもあれば,他のファンドよりも値上がり/値下がりしないこともあるので変わらないというおとになるでしょうつまり、期待リターン・期待リスクは同じです。

そこで注目されているのは「インデックスへの連動性」です。これが正確に連動されている必要があるのでしょうか?言い換えると,「長期国際分散投資においてMSCI Kokusaiにピッタリと連動していることが重要なのか?」となります。
このように自分に問いかけた時,答えはNOとなりました。


インデックス投資はもともと一生懸命頑張るアクティブが報われるわけではない=パッシブ投資で十分がスタート地点でしょう。
今でこそインデックス投資のバイブルかのように言われる『ウォール街のランダムウォーカー』ですが,その登場当初はインデックス投資の話はしていません。(私も初版を手元に持っていますが,初版発行インデックスファンド登場前の1973年)
『ウォール街のランダム・ウォーカー』発行後にインデックスファンドが登場したために,あとからパッシブ投資の一例として株価指数であるS&P500などが取り上げられてアクティブファンドと比較されるようになりました。つまり,元々はパッシブ運用≠インデックス運用です。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』 "A Random Walk Down Wall Street" 初版
「パッシブ運用=インデックス」に非ず

インデックス投資の目的とインデックへの連動性の関係

なぜインデックス投資をするのかを簡単に整理すると,主に以下の3点でしょう。
    • 株式や債券は期待リターンがプラスなので保有し続けていればその期待リターンを狙える (長期)
    • 広く分散することで期待リターンを変えないままリスクを低減できる (分散)
    • コストを下げることで「コスト調整前リターン - コスト」である投資家リターンを向上できる (低コスト)
ここにはインデックスに連動するという目的はありません。

そもそもMSCI Kokusaiなどの指数はMSCIなどインデックスプロバイダーが彼らの基準で勝手に決めている指数です。その指数にピッタリ連動させることに意味があるのでしょうか。

日本株であれば,TOPIX, 日経平均,MSCI Japanなどの指数がありますが,どの指数が良いのでしょうか?
仮にTOPIXに連動するインデックスファンドを持っていて日次リターンで少し乖離が出たら問題とした場合,TOPIXへの連動が大事ということになりますが、日本株部分がTOPIXに連動しないVTはダメでしょうか? (VTはFTSE Global All-Cap Index連動なので日本株の銘柄構成はFTSE Japan Indexに従います)

いや,「TOPIXでもFTSE Japan Indexでもいいよ」「S&P500でもMSCI U.S. Broad Market IndexでもMSCI U.S. Investable Market 2500 Indexでもいいよ」という話なら,ある程度広く分散していればOKということで特定の指数への厳密な連動は求めていないはずです。

元々,求めていないところでの品質を追求することにあまり意味はないと思いますので,長期分散投資のインデックス投資家であれば特に気にすることはないと思います。

もちろん,機関投資家など投資主体によっては違います。プログラムを組んで数ベーシスポイントという幅を狙ってトレーディングするようなヘッジファンドなどの場合には0.1%の乖離でも問題になることもあるでしょう。自分たちでリスクやリターンを細かい単位で計算してトレードしているのにせっかくの投資先の価格がずれていては困ります。
このような人にとって日次リターンの乖離は問題でしょうが,長期保有の個人投資家は上下への乖離であれば特に気にしなくていいと思います。

とはいえ,「気にすることはないと言われても,上下に微妙にランダムにずれるファンドは気持ち悪い。そういうものを持ちたくはない。」という方もいるでしょう。そのような場合はeMAXIS Slimなど他のファンドを購入すればよいかと思います。他にもたくさん低コストインデックスファンドはあるという恵まれた環境であるので,あえて気持ち悪いファンドを持つ必然性はありません。


個人投資家として気を付けるべきは,仕組みとして下方乖離しやすい,もしくはボラティリティが大きく出やすいといったマイナス面への影響が大きい場合でしょう。
例えば,「1680/1681が設定当初は先物を組み入れる仕組みではじめてみたが,実際にやってみるとロールオーバーのコストでリターンがベンチマークを継続的に下回った」というようなケースです。このように仕組みとして負けやすいものは意識して避けた方が良い。
もちろん、信託報酬が高いというのも負けやすい仕組みの一つなので敬遠されるべきところになります。



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