Takekawa_tsuitateNISA


2007年にベストセラーになった『投資信託に騙されるな』を出してから,などなど,NISAやiDeCoといった投資信託に関して新しい動きがあると本を出していた竹川美奈子さんですが,今年からつみたてNISAが始まるとなれば,それに関する本を出さないはずがありません。

税金がタダになる、おトクな 「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門

2014年にはNISAだけでしたが,今回は「つみたてNISA」「一般NISA」の両方をタイトルにつけて新しい本を出されました。
従来のiDeCoやNISAの竹川流説明本を読まれている方は分かると思うのですが,「竹川流説明本:つみたてNISA版」です。




iDeCoにしろ,NISAにしろ,つみたてNISAにしろ,世の中には複数の解説本がありますが,私が思う竹川さんの本の特徴は一般的なことでしょうか。

この手の本は著者の主張で偏りが出ることが多い。
山崎元氏の本は非常に歯切れがいい一方で,そこまで切ってしまうか…というところもあり,制度全般の解説にはなっていなかったりします。カン・チュンド氏の本は感情に訴えかける語り口で私は好きなのですが、やはり制度の解説本としてはちょっと弱いところもあります。
また,他の解説本では制度の説明は申し分なくても,あまりにお堅い教科書過ぎて初心者が入門書として読み切るのはつらい…というものもあります。

その点,全体的なバランスが取れているのは竹川さんの本でしょう。

そのような配慮が見える点を一つ本から抜粋します。これはつみたてNISAの利用法について書いている箇所です。
長期で効率的な運用ができるので、金融資産全体で考えると、なるべく期待リターンの高い商品で運用するのが合理的です。
ただ、それでも投信の値動きが大きいことに抵抗がある人もいるようです。
本来リスクを抑えるには投資する金額で調整する(=つみたて投資に回す金額を減ら)のがキホンですが、「値動きをもう少しマイルドにしたい」「長期で運用しない可能性もある(引き出す時期が比較的近いかもしれない)」という人は、バランス型の投資信託を積み立てていくという選択肢もあります。

このように株式オンリーの合理性を語りながらも、債券を含むバランス型もありとしています。このあたりは竹川さんの本の特徴ではないでしょうか。

これ,山崎元さんなら「債券なんていらない。特に20年を想定したら全く合理的ではない。」と一刀両断しそうです。カン・チュンドさんに聞いたら「長期航海ではバランスよくしておけばいいのです」と株オンリーや株・債券両方の違いといったものを説明がなさそうです。(お二人とも,ゴメンナサイ。それはそれでお二方の味で読み物としては私は好きなのですが,教科書的な入門書という観点ということで……再度ゴメンナサイ)

「つみたてNISAってなんだ?NISAってのも前からあったはずだけど,どう違うの?」といったような方向けにおススメできる1冊を挙げろと言うならこの本になりそうです。(理屈っぽくて数字が大好きな人など,他の前提条件が分かっていれば違う本になるかも)



【関連コンテンツ】