先日書いたあなたのその時価総額はどんな時価総額でしょうか? (時価総額型インデックス, 株式を時価総額比で保有)がありますが,ちょうどいい具体的な事例をあげられそうなので実例を出して見たいと思います。
アジア時価総額、中国企業が躍進 IT、金融が存在感(日経新聞)
この日経新聞の記事で,2017年12月29日時点のアジアの時価総額トップ50社がランキングされており,中国企業は28社リストされています。
一方,MSCI ChinaのFact Sheetを見ると, こちらも2017年12月29日時点のMSCI Chinaの組入トップ10社がリストされています。
この2つのリストを見比べると,「時価総額」と「浮動株調整後の時価総額」がどれほど違いそうか少し見えてきそうです。
そこで表を作ってみると「時価総額」と「浮動株調整後の時価総額」でだいぶ違うことが分かりました。
浮動株調整後はテンセントとアリババが圧倒的な存在感
まず,1位2位の順位こそどちらも同じで,テンセント→アリババの順番ですが,3位以降との差が明らかに違います。時価総額では2位のアリババ(4407億ドル)は3位の中国工商銀行(3265億ドル)の1.35倍程度ですが,浮動株調整後ですと,3位の中国建設銀行の2.56倍にもなっています。
浮動株調整後のMSCI China指数では,テンセントとアリババの存在感が圧倒的です。
国有企業は軒並み順位を落とす
テンセントとアリババの存在感が強まっているのは,時価総額で3位以降につけている企業が国有企業であり,これらの企業の固定株の割合が大きいのが理由のようです。国有企業は浮動株調整後では軒並み順位を落としています。
時価総額3位の中国工商銀行は6位になり,時価総額5位の中国石油天然気(ペトロチャイナ)はトップ10圏外です。
テンセントはナスパーズ,アリババはソフトバンクのような大株主が安定株主とみなされているのか浮動株調整後の時価総額は大きく減っていますが,それ以上に国有企業の除外が大きいようです。
時価総額が1/4以下の百度が中国工商銀行を逆転
民営企業である百度(バイドゥ)の大躍進が目立ちます。百度(バイドゥ)は時価総額順位では16位ですが、浮動株調整後は4位へとジャンプアップしています。時価総額では813億ドルですが,浮動株調整後の時価総額が642億ドルと,ほとんど時価総額が減っていません。
時価総額では中国工商銀行の1/4しかありませんが,浮動株調整後では百度(バイドゥ)の方が上にランキングされています。
【関連コンテンツ】