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つみたてNISAが今年から始まっています。

「積立しかできない」「投資対象が投資信託・ETFのみ」「投資信託・ETFでもいろいろと条件が付いている」など,導入を推進した金融庁がいろいろと注文を付けて導入された投資制度です。

しかし,そこまで注文をつけるならこれも……と思ったものの取り入れられなかったのが「つみたてNISA”専用”ファンドの禁止」です。

つみたてNISA最大の懸念はドアノック商品

つみたてNISAはいい制度だと思うのですが,「ドアノック商品」として使われるのではないかという一つの大きな懸念があります。つみたてNISAを餌にして顧客に口座を開設させ,後から手数料の高いボッタクリ商品を売りつけるようなことを金融機関がやってくるのではないかという懸念があります。
(私が金融機関側の人間なら,間違いなく合法的な範囲でできるかぎりそうします)。

このような勧誘を無くすことは難しいのですが,少しだけでも効果を発揮しそうなのが「つみたてNISA”専用”ファンドの禁止」です。

つみたてNISAは金融庁の罠によって,金融機関が儲かりにくい手数料が低い商品しか取り扱えません。しかも,その制限の中で上限の手数料を取ろうとすれば,他金融機関に対する競争力もなくなれば,昨今では口コミでも悪い評判を流されそうで,ドアノック商品としての価値を失ってしまいます。
つみたてNISA単体で儲けようとするのは非常に難しい。

手数料が低い商品を買えるのはつみたてNISAだけとする企業戦略

そうであれば,つみたてNISAはドアノック商品と割り切ってしまって,つみたてNISAの外で儲けようとするのが一つの戦略でしょう。

この場合,つみたてNISAで買える手数料が低い商品を一般の口座で買えてしまっては非常に都合が悪い。

せっかくつみたてNISAで赤字覚悟で顧客を捕まえたのに,つみたてNISAの外でも手数料が低い商品を買われてしまっては儲かりません。仮にeMAXIS Slim先進国株式だと,信託報酬が0.1095%になります。販売会社取り分は0.05%といったところでしょうか。これだと1000万円買って保有してもらったところで5000円/年の手数料収入にしかなりません。どう考えても赤字です。

そこで,つみたてNISAで取り扱っている低信託報酬なファンドは「つみたてNISA”専用”ファンド」としてしまって,つみたてNISA外で買えなくするという戦略が光ってきます。
「つみたてNISA専用ファンド」で検索すると多くの地銀などで低信託報酬のインデックスファンドが専用ファンドとしてラインナップされている情報が多数見つかります。


どうせ口出しするなら,その企業戦略もつぶしてほしかった

企業の思惑が分かれば,それを逆手にとって,つみたてNISAの外側でつみたてNISAと同じ商品を買えるようにしてしまえばいいのです。「そこまで金融庁が口出しするのか」という抵抗もありそうですが,つみたてNISAに適格なファンドなどとあれだけ口出ししていれば,何を今さらでしょう。

つみたてNISAと同じ商品をつみたてNISAの外で買えるようになっても,金融機関は手数料が高い商品を売ろうとするでしょう。しかし,素朴な要望として「つみたてNISAと同じ商品を買いたい」とする顧客もかなりの数出てくるはずです。
これによって合法的ボッタクリ商品を買ってしまう人をかなり減らせそうな気もするのですが,どうでしょう。



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