私の出版記念イベントを開催していただいたりとお世話になっている後田亨氏が『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』を先日出版されました。


後田氏と言えば,これまでも保険に関する本を多数出しており,その中で述べられる基本的な主張は一貫しています
※参考:『生命保険は「入るほど損」?!』は後田亨氏の最高傑作かもしれない

しかし,保険というテーマの中で新しい本をまた出して何を書くの???という気持ちにもなります。

私も,先日書いた『毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資』の中でインデックス投資について書きましたが,この1冊で書きたいことの7割程度は書いています。
重なる部分と残りの3割で2冊めを書くことはできるでしょう。しかし,3冊目,4冊目となったら……違いを作り出すのは難しい。

そう思うのですが,後田氏は新しい保険に関する本を執筆されました。
この本は,1冊を通じてフリーライターの中村さんが相談に来て話をするという形式の対話形式になっています。出版記念イベントの中で後田氏から話があって気づいたのですが,これは後田氏の本の中で初の形式とのことです。確かに今まで読んだ本で対話形式はありませんでした。
対話形式にすることで読みやすさを狙ったということです。

私はこの本を出版記念イベントに行く前には「本を読んでから行かないとまずい」と思って直前にあわてて読んだのですが一気に読めました。確かに読みやすかった。

基本コンセプトは変わらず

対話形式とフォーマットこそ変わりましたが,保険に対する考え方は従来と同じ路線です。保険は保険会社の取り分だけ損をする仕組みであり,稀に発生して多額のお金が必要になるものに向いている仕組みであるというのが基本です。

結果として,「死亡」及び「長期の就業不能」が保険に向いていて,医療保険やがん保険は保険に向いていないという話になっています。

そんな中,あえて入るならとリストアップした医療保険

基本的には医療保険は不要という考え方の後田氏ですが,そんな中でもあえて加入するならということで一つ医療保険をリストアップしていました。
それがオリックス生命保険の「新CURE」です。(あとは共済もあげていました)

私の予想は楽天生命の『ロング』でしたが外れました。後田氏も『ロング』は考えたそうなのですが,それでも上限日数が決まっているという点がマイナス評価ということです。

※『ロング』は短期入院では保険金がでず,60日からの長期入院でしか保険金がでない保険で,その分保険料が安くなっています。最近は5日以内の入院でも保険金がでることなどを売りにしている医療保険もありますが,そういう数万円程度の自分でカバーできる小額ケースを対象外にして,大きな金額が必要になるときだけを保証対象とするというのは「有」りなコンセプトでしょう。

誰におすすめな本? → 後田氏の本を読んだことがない人

どんな人におススメかということを考えましたが,後田氏の出版済みの本を読んだことがない人でしょう。
軸がぶれていないので,書かれている内容は既刊のものと大きく差がありません。つまり,すでに後田氏の本を何冊も読んでいるという人には新しい発見は少ないでしょう。

しかし,読んだことがない人は別です。
対談形式で読みやすくしたかったという狙い通り,初めての人には読みやすくなっています。とりあえずの1冊としては従来の本よりもおススメしやすい。



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