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先日のことになりますが,東証の主催によりMSCIの方からMSCIの指数について学ぶ機会がありました。

MSCIの指数を利用する費用を知る

MSCIの指数を利用する費用は「データ使用料」「ライセンス」の2つに分解できるとのことです。

■データ使用料

データ使用料は、そのファンドがMSCIのある指数をベンチマークに使う場合など,その指数のデータを使うわけですが,そのための料金です。この費用は残高に対して数bpというものではなく,年間●万(○十万?○百万?)のように決まった額とのことで

■ライセンス料

MSCIのインデックスに連動するインデックスファンドを運用する場合,その指数を使うライセンス料が必要になるとのことです。このライセンス料はインデックスファンドの場合に必要であって,ベンチマークとしてMSCIの指数を使うアクティブファンドの場合は不要とのことです。

なお,この費用は残高に対して数bpのように決まっているとのことで,同じ指数を使う場合でも,そのレートはファンドの特性によっても異なるようです。
「同じマザーファンドにぶら下がるベビーファンドがあった場合、ベビーファンド毎にライセンス料がかかるのか,マザーで一括なのか?」といった質問がありました。これへの回答は、同じマザーファンドにぶら下がっているベビーファンドがあったとしてもそのファンドの特性によってライセンス料のレートは異なるとのこと。具体的には機関投資家向けのベビーファンドであれば低め,個人投資家向けの場合には高め…信託報酬が高いと高め,信託報酬が低いと低め…などと考えるとの話でした。

ラインセンス料は下がっている

同一指数のライセンス料は下落傾向にあるとのことです。この下落傾向に強い影響を与えているのがバンガードとのことで,バンガードに競ってブラックロックがエクスペンス・レシオ(信託報酬)を下げて…という競争の結果,指数のライセンス料も低下する傾向になっているとのことです。

指数の組成は,要望を聞きつつMSCIの考えに沿っているか

MSCIにかぎらず指数を提供する会社は新しい指数を作ることがあり,要望を受けて作ることが多いですが,なんでも受けるということではなくてMSCIの考えに沿っているかも考慮しているようです。
確かになんでも言われるがままに作ってしまって,相反するような指数を作ってしまったような場合にはMSCIとしてシスをどう考えるのかという整合性が難しそうです。

【参考】他の参加者の参加報告

スマートベータは有効性が認められている6つ(5つ)のファクター


MSCI指数パンフレットにありますが,以下の6つのファクターが投資として有効なファクターであるとされています。
smartbeta
単に分散するのではなく,これらのファクターを取るようにすることで,ただ時価総額比重で投資するよりも高いパフォーマンスを入手しようというのがスマートベータの考えです。

スマートベータのファクターが有効なのは市場が効率的/非効率的だから

6つのファクターがあったとして,どうしてファクターに注目した投資の成績が良いのかですが,これは市場が効率的だからと市場が非効率的だからとという2つの説があるという話でした。
私は後者の考え方で,さらに言えば市場が非効率的なのにその非効率性が埋まらないのは人間がそれほど賢くないからと考えています。

クローゼット・インデックスファンドは淘汰される

アクティブファンドを名乗りながら,インデックスファンドに近いような運用をしているアクティブファンドがあり,クローゼット・インデックスファンドなどと呼ばれます。このようなファンドはスマートベータによって駆逐されるだろう,という見解です。これは私も同意でそろそろ市場からご退場願いたいところ。


私にとっては非常に有意義なミーティングでしたが,一般向けかというとちょっとマニアック過ぎたのではないか,という気もする会でした。




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