セゾン投信はブロガーズミーティングに参加するなど接点がありますので,ここは触れておきたいニュースです。
セゾン投信が初めて自らの信託報酬を引き下げ
3月10日に以下のようなプレスリリースがありました。セゾン投信 2 本のファンド 運用管理費用(信託報酬)引き下げのお知らせ(セゾン投信プレスリリース)
2007年からの歴史の中で初のセゾン投信側の信託報酬引き下げです。セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド及びセゾン資産形成の達人ファンドの両方で0.01パーセントポイントの引き下げが発表されました (今まで投資先のバンガードのファンドの信託報酬低減はありましたが,セゾン投信側の信託報酬の引き下げは初のことです。)
低信託報酬ファンドが次々と登場し,当初のコスト優位性を失ったセゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
設定当初はセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは信託報酬でコスト優位性がありました。しかし,その後に各種インデックスファンドで信託報酬が低い商品が続々と登場し,インデックスファンドを組み合わせたバランスファンドでもより信託報酬が低いファンドが登場しました。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは投資先のバンガードのファンドの信託報酬低減によるトータルコストの削減は行われましたが,とても外の低コスト化のスピードに太刀打ちできるものではありませんでした。
儲かるようになったら受益者還元で引き下げると言いつつも引き下げられなかったセゾン投信
セゾン投信は一貫して,儲かるようになったら信託報酬を引き下げるということを言っていましたが,ずっと赤字が続いておりとても信託報酬を下げるどころではありませんでした。ついに黒字化を達成したセゾン投信
2016年4月の「セゾン投信のフィデューシャリーと成長戦略」と題した「投資家の皆さまへ」にて,以下のような報告がなされています。ちなみに、昨年度初めて単年度黒字で3,000万円の経常利益だった。今年度は5〜6千万円程度ではないか。※http://www.saison-am.co.jp/より
純資産総額の拡大により数千万円という規模ですが,ついに黒字化を達成しました。
このような話を受けて,セゾン投信の信託報酬引き下げに期待している投資家(投信ブロガー?)からは「信託報酬引き下げはまだか」という声が上がっていました。
0.01パーセントポイントの信託報酬引き下げは従来の方針通り
今回の0.01パーセントポイントの引き下げについてはいろいろな声があります。- 引き下げたという行為を褒める声
- たった0.01パーセントポイントの引き下げでコスト競争の観点で意味があるのかという声
- 等々
利益水準と考えると0.01パーセントポイントは最大の水準
2017年3月10日時点のセゾン投信の2ファンド合計の純資産総額は1714億円です。この0.01%は1714万円ですので,今回の0.01パーセントポイントの引き下げは単純に計算すると1714万円の減収要因になります。
ここまで10年近く赤字で耐えていた株主もいるわけで彼らへの還元も考えないといけません。
その中で利益が3000万円だ5000万円だという水準を考えると,0.01パーセントポイントというのは現時点では限度でしょう。
セゾンの引き下げ方針はコスト競争に勝つためではなく,アットコスト
セゾン投信の信託報酬額引き下げ幅が小さすぎるという声がありますが,これは仕方ないでしょう。セゾン投信が信託報酬に対する考え方として,儲かったらそれに応じて信託報酬を下げるというものです。購入・換金手数料なしシリーズやeMAXIS Slimのように黒字や赤字は関係なくコスト競争を制するために信託報酬を引き下げるというファンドとは方針が異なります。
あくまで収益水準に合わせた「よそはよそ」のアットコストの引き下げです。
※アットコストに関する参考: バンガードのアットコストと素晴らしき仕組み
セゾン投信の方針の究極の到達地はバンガードのようにアットコストの考え方でコスト競争力のあるファンドになることでしょうが,この王道路線は時間がかかります。さて,どうなることでしょう。
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不当廉売には当たらないのでしょうか。自ら血を流しつつ相手の疲弊を待つのは焦土戦術そのものです。明らかに過当競争状態です。
販売会社も付き合いきれず、ロボアドバイザーなと高収益路線に転換しつつあるように見えます。
唯一? 事業継続性について表明していた三菱もあっさりダブルスタンダードを導入してしまいました。
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