猫 Cat

先日,コツコツとバイ&ホールド投資してきて,取り崩しのタイミングで暴落が来たらどうする? - シミュレーションを書きました。ここでは近年で最も大きな暴落だったリーマンショックのデータを使って,相場は上下動があるので,短期的に暴落があっても長期の取り崩しのケースならそんなに深刻なダメージにはならないんじゃないかという話をしました。
ここ数十年でも最大規模の暴落であったリーマンショックがあってもこの程度ということを考えると,暴落が来てもそんなに悪いことではないのではないでしょうか。


その中で,最後には以下のようにも書きました。
実際の運用においては、リタイア時点では30代や40代の資産形成期と違い,株式比率を下げる,安全資産を確保しておくなどといったこともやった上でリスク資産へ資産を投じるのがいいでしょう。

今回は「暴落が来ても大丈夫」の続きとして、この話を書きます。


アセットアロケーションはリスク許容度に応じて変化する

分散投資のバイ&ホールドの話をすると、「アセットアロケーションはずっと変わらない」かのような誤解をされているケースがあります。30代で投資を開始してリスク資産/無リスク資産の比率を1:1と置いたら,40歳でも50歳でも60歳でも同じ…かのような考えです。
しかし,これは分散投資のバイ&ホールドの考え方とは違います。

基本的にアセットアロケーションはリスク許容度に応じて決まります。「今どれだけリスクを取れるから,どれだけ投資できる。また,株式にはどれだけ割り当てられる」のような話です。つまり,リスク許容度に応じてアセットアロケーションは変わります。これはリスク資産の中のリスクの大きさのみならず,無リスク資産を含めたその人の資産全体の中の話です。


暴落が起きても大丈夫なまでにリスクを低減しておけばOK

暴落が来たらどうするかは取り崩し期の特別な話ではなく資産形成期の続きです。資産形成期でも取り崩し期でもリスク許容度が大事です。

年齢で全ては決まりませんが,ターゲットイヤーファンドなどが時間の経過(加齢)と共に株式比率を落としていくように,一般的には年齢が上がるほどリスク許容度は下がっていくと言えます。
三菱UFJターゲット・イヤー・ファンド 2050
※参考:三菱UFJターゲット・イヤー・ファンド 2030/2040/2050

20代や30代と違って50代や60代ではリスク高めの投資スタイルで大暴落が来たら困るというのであれば,ターゲットイヤーファンドのようにリスクを下げておけばいいのです。

「追加投資が無くて取り崩す一方の老後の資産運用で大きな損失を出す訳にはいかない」となれば,リスクを小さくします。具体的には若い時には暴落で全資産の50%が吹っ飛んでいたところを,同じ暴落が来ても20%の資産を失う程度までリスクを下げておくなどです。
例えば,無リスク資産を7割,リスク資産への投資を3割などとすれば,リスク資産が半値になってしまっても,資産全体で見れば100→85と15%の資産が失われたに過ぎません。


常識的な暴落が来ても大丈夫

先日は,暴落と言っても未来永劫相場が下がり続けることはないということを書きました。今回はリスク許容度に合わせてリスクを下げておけば暴落が来ても大丈夫ということを書きました。
この2つの組み合わせから,取り崩し期に暴落が来てもまず大丈夫であると考えます。

もちろん,世界大恐慌やリーマンショックどころではなく世の中の大多数の人が失業者になってしまうような未曾有の暴落が来たり,核戦争で現代社会制度が滅んだような世界が来た場合には,市場機能事態が失われたような状態になり,資産を守ることはかなわないでしょう。
しかし,このような場合はそもそも全額預金や現金で持っていてもアウトな気もするので,そこまでのことはリスク資産・無リスク資産のコントロールでどうにかなる範疇ではありません。


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