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先日,TwitterでiDeCo(個人型確定拠出年金)において商品の本数を制限することについての是非を語りました。これについてはいろいろな意見があるようです。せっかくTwitterでいろいろつぶやいたので,ブログでもスタンスを表明しておきます。

現実論として,一般的な水準の投資家を想定すると本数制限は妥当

私は基本的に上限本数制限に肯定派です。(もちろんその本数によっては必ずしも賛同はしませんが…)

そもそも何故に本数制限なんて話が?

まず,そもそも本数抑制なんて話がどうして出てきたのか?ここから触れたいと思います。
理由は社会保障審議会企業年金部会の第12回の資料1 確定拠出年金における運用についてという資料にあります。
行動経済学の知見によれば、消費者の金融商品購入にあたって、選択すべき項目が増えたり、選択肢が多すぎると、選択自体が困難になることがわかっている。
401(k)に関する研究では、運用商品数が増加するほど商品の特性が考慮されにくくなり、結果的に従業員にとって不利な商品選択を行っている可能性が指摘されている。
詳細はリンク先の資料を読んでいただきたいのですが,ざっとまとめると,本数が増えすぎると選択肢が多すぎ,まともに検討して選べなくなり,加入者の運用成績が悪くなるという話です。

※参考過去エントリー:企業型確定拠出年金の運用商品 この10本 〜 もし私が運用商品を選べるなら

"熟練した投資家なら"千を超える選択肢から選ぶのは容易

すでに自分で無数にある投資商品を検討して適切なものだと思う商品を選べている投資家の人にとって,確定拠出年金の商品の中から適切な投資商品を選ぶことは難しくないでしょう。証券会社に行けば、1000を超える上場企業の株,数百を超える投資信託,社債に先物にFXに…とあるなかから選んでいるのですから楽勝です。
このような人にとっては,商品数が一桁などになってしまうと自分が投資したい商品がなくて困る…となるのもわかります。

確定拠出年金は誰のため?何のため?

では確定拠出年金は誰のためにあるのでしょうか?一部の熟練した投資家のためではありません。あくまで一般的な市民の資産形成の手段です(この一般的には平均以下の投資知識の人含む)。

そう考えると,上限本数が多くなるとパフォーマンスが低下するという実証研究を受けて,彼らが利する制限をかけるのは筋が通る話です。

自由にすると金融機関の食い物にされる

「自由度を下げていいのか?」という声もあるでしょうが,自由度を優先する基準にしてしまうなら、「投資信託,保険,預金」だけというのも不自由でしょう。「上場株式,上場企業社債」,さらに「未公開株,非上場企業社債,ハイレバFX,バイナリーオプション,私募ファンド,月の土地…」などというものも入ってくれば自由度が上がります。
自由を標榜するのであればこれらの一部だけを排除する理由がありません。これらの商品は確定拠出年金の外では認められている商品であり,それを除外するのであれば自由と相反することになりますし,特定の商品だけを除外できる理由画に正当性がありません。

このように自由度を高めることが投資家の利益になるのでしょうか?
資産を作るどころかハイレバFXなどで吹き飛ばしかねません。仕組債であったりと各種金融機関の食い物にされる予感しかしません。

金融リテラシーが上がるのが理想だが,争いのない世界などと同じく夢の世界か

ただでさえ,「各種説明を行いなさい」「目論見書には分かりやすくこの情報を記述しなさい」「適合性の原則を守りなさい」「回転売買させるのはやめなさい」「………」「………」と規制満載なのが金融商品です。ここまでやっても食い物にされる投資家は無数にいます。
年金という特性を考えると,より強い制限がかかっても仕方ないのではないでしょうか。

皆の金融リテラシーが高まって,皆が商品特性を理解して契約書などをしっかり読み込んで金融機関と対等に渡り合えるのが理想ですが,それが実現するのは10年単位……,それどころか私が生きているうちには実現しないような難しいことだと思えます。
現実論として,規制で縛って利益を守るというところに落ち着くのが無難でしょう。


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