情報弱者

すべての投資家は情弱である (The Arts and Investment Studies)

上のブログも一つ念頭に置いて読んでいただけると面白いかもしれません。

インデックス投資は,具体的にはインデックスファンドを活用して広く国際分散投資して持っておくだけ (※細かくはリバランスやリスクに応じたリスク配分の見直しなどもありますが割愛) ということで「インデックス投資家は思考停止」「インデックス投資家は情弱(情報弱者)だ」のような批判があります。

毎日のように各社のIRを読み込んでいたり世界経済の情報に目を通している人でもインデックス投資はできるので,インデックス投資している人を思考停止している人や情報弱者と決めつけるのは乱暴だな…とも思うのですが,それはちょっと脇道なのでおいておきます。

情弱で何が問題なのか?

インデックス投資家の中には情弱でない人もいるでしょうが,ここでは「インデックス投資家には情弱が多い」を前提条件とします。では,情弱だと何が問題なのでしょうか。

思考停止・情弱という批判の先には,「世界経済の流れは今まで通り右肩上がりとは限らない。今までみたいにバイ&ホールドしていれば儲けられるとは限らない。」といった経済成長を疑う声や,さらに進んで「世界の流れは変わった。もう今まで通りのパフォーマンスは期待できない。」とバイ&ホールドでは(今まで通りには)儲からないと断じる声も聞こえます。
いずれの場合もその先にはしっかり勉強し,情報を集めて投資先やタイミングを選別して投資しないと儲けられないのだと続くのが黄金パターンです。
つまり,高校の実力テストなどのように「ちゃんと勉強しないと (投資で) いい成績は取れないよ」という話です。

勉強すれば成績が上がるの?

学校のテストは好成績に勉強が大事

先に高校の実力テストと書きましたが,学校のペーパーテストと勉強の成績は非常に結びつきやすくわかりやすい。
各人で才能や理解度に差はありますが,基本的には勉強しないと点数は取れません。特に,歴史で年号や人の名前を答えるようなものは暗記しておかないとどんな天才であってもまず答えられません。
「勉強しなくて知識が少ないと成績が悪い」と言って異議を唱える人は少ないでしょう。

勉強量や情報量は投資の成績に影響あるの?

今回の本題はここです。学校の勉強では勉強量や情報量が成績に影響を与えました。では,投資において勉強量や情報量が投資成績に影響をあたえるのでしょうか。

本題の投資の話をする前に,勉強と違って努力が必ずしも役に立たないとことがあるという事例を一つ紹介します。代表例としては宝くじ。今までの当選番号や売り場毎の当選本数などを一生懸命調べても当選確率は上がりません。
勉強のように努力が成果に結びつきやすいものもあれば,宝くじのように努力が成果に結びつきにくいものもあります。

では,本題の投資はどうでしょう。
ここでインデックス投資の考え方は,「努力で市場平均以上のパフォーマンスを出すのが難しい」となります。
一つの根拠として,プロで一生懸命運用のことを考えて儲けようとしているファンドマネージャ達が集団として見たときに市場平均を上回っていないということがあります (個々のファンドマネージャでは平均を上回る人もいますが,それは宝くじで大儲けする人もいるように運でも勝てる人はいるという話になります)。
プロスポーツの世界のように一生懸命サッカーをやっているプロサッカー選手たちは世間一般よりサッカーが上手です。しかし,資産運用の世界ではどうも景色が違います。頑張って運用を専門にしているプロたちのパフォーマンスがよろしくない。

情報強者になって投資成績が向上するなら嬉しいのですが,どうも勉強や仕事と違って頑張ってもそれが成果につながるか疑わしい。詐欺的商品やボッタクリ商品を避けるという最低限不利にならない程度の知識を身に着けることは重要でしょうが,それ以上の情報強者になっても何が嬉しいのか…という話になります。

セミナーなどでも話させていただいているように,投資家の中には運ではなく,努力や才能で高い成績を残しているような人もいるかと思いますが,その他大勢のフツーの人が理を持って勝てるかというと怪しいと思うわけです。


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