楽ラップ


先のステート・ストリートの低コストインデックスファンドは楽天証券のファンドラップで採用では、ステート・ストリートのファンドの情報として言及しましたが、楽天証券のファンドラップとなる「楽ラップ」の情報が公開されていました。

信託報酬・ラップサービスの費用コミコミで最大でも年率1%未満!

楽ラップ  手数料

上記が報酬体系です。固定報酬型と成功報酬型がありますが、固定報酬型に目を向けると手数料の合計が最大でも年率0.990%になっています。採用しているファンドの中で一番信託報酬が高いファンドはたわらノーロード 新興国株式<ラップ向け>0.3780%ですが、組み合わせで作るポートフォリオにおいては0.288%ということのようです。
最大で年率1%を切る水準ですから、先行していた大手証券会社のファンドラップとはずいぶんと報酬に差があります。

最大0.990%という手数料はどうなの?

大手証券会社の水準より安いとはいえ、手数料がかかるのは確かです。では、この1%弱という手数料の水準はどう考えたらよいのでしょう。

私は十分に利用価値がある水準だと思います。

自分でアセットアロケーションを考えて、ポートフォリオを組んで、個別のファンドを組み合わせて低コストを実現している人にとっては「ラップサービスの費用で年率0.54%も取られるなんて高い!!」でしょう。
これは、それができる人のお話です。

  • 貸与型大学奨学金で返済滞納者のうち、申込前に返済義務があるのを知っていた人は半分以下
延滞者では「申込手続きを行う前」に返還義務を知った者は、過半数以下の49.5%であるのに対し、無延滞者では90.3%で無延滞者の方が40%以上高い。

上のは分かりやすい例ですが,多くの人は自作ポートフォリオを管理するどころではありません。
公的年金や国民健康保険の仕組みが分かっていない、給料からいくら住民税と所得税を払っているか分かっていない、どんな民間保険が自分に合っているかが分かっていない、リボ払いが如何に不利かが分かっていない……

そんな彼ら全員が自分で勉強して自分でポートフォリオ管理できればいいのですが、それは夢物語です。「世の中の皆がルールを守るようになれば…」のように無理ゲーでしょう。

「金融リテラシー」の時代から「金融ケイパビリティ」の時代へでも紹介しましたが、金融リテラシー(金融ケイパビリティ)教育に力を入れているイギリスでも以下のような状況です。
金融ケイパビリティの生みの親であるイギリスのFSAが、「情報提供や教育といったイニシアチブでは効果はあるけど弱い」として「行動バイアスが深く浸透しているから長い期間かかるだろう」と言っている

そう簡単に、皆の金融リテラシーが高まってポートフォリオ管理できるようになるという楽観的な将来像は描けません。

手数料1%弱ならマスにとっては悪くない選択

さて、自分でポートフォリオを管理できない人はどうしたらいいでしょう。そんな時は、ベストではないけれど悪くない選択肢として、合計手数料が年率1%以内で無難な運用をしてくれるサービスならありじゃないでしょうか。

そもそも、元来自分で低コストなファンドを組み合わせてポートフォリオ管理していた人だった、それに近い手数料は払っていたかと思います。私も新興国株に投資する時、今のような信託報酬が低いファンドが無かったので、2%近い手数料を取られるファンドを使っていました。

マネックス資産設計ファンド(税抜き信託報酬0.95%)なんて、登場した当時は低コストファンドとして十分によい評価を受けていました。

今の最善手と比較してしまうと年率1%近い手数料というファンドラップは高くなりますが、投資する価値があるかというと十分に投資する価値がある水準でしょう。


もちろん、自分でやれるという限られた人にはこの「楽ラップ」のサービスは不要です。



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