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(パートナーズFXより)

1年5ヶ月ぶりにアメリカドル/円が110円を下回って、107円台になりました。

「円高になってきている」という今のアメリカドル/円の動きの方向性の話はよく聞くのですが、絶対的な水準としてみた時に今の為替水準は円高なのでしょうか?それとも円安なのでしょうか?
それが分かったところで相場を読むのは難しいのですが、為替の先行きを考える上で今の水準が円高気味なのか円安気味なのかを見ておくというのはありでしょう。

ドル円の名目為替レートと実質実効為替レート

日本銀行のサイト(時系列統計データ検索サイト)からアメリカドル/円及び実質実効為替レートの数字を拝借してきました。 (2016年3月分の実質実効為替レートはまだ掲載されていなかったので1980年1月〜2016年2月のデータです)
最長の1980年からのデータを見ると最近の値動きがつぶれてしまうので、1990年1月〜、2000年1月〜というグラフも作ってみました。
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usd_jpy_201602_02
青線が多くの方に馴染みのある名目のドル円の為替レートで、赤線が今回注目の実質実効為替レートです。

名目のドル円レートで110円は円高

名目のドル円の為替レートでは、ドル円はどんどん高値を切り下げて円高方向に動いているように見えます。110円という水準は1980年や1990年からの歴史的に見ると円高と言ってもいい水準にも見えます。

実質実効為替レートでは110円は円安

一方実質実効為替レートを見る面白いことに今の110円はかなりの円安水準です。
このグラフでは2016年2月までのデータなので名目のドル円の為替レートが115円までなのですが、2016年3月に110円としてもかなりの円安水準には変わりありません。

面白いことに名目の為替レート実質実効為替レートでは異なる風景が見えています。

※参考:ドル円86円台へ - 円高?

今後のドル円が円安に動くか、円高に動くかは分かりませんが、歴史的に為替は長期的にはある程度の実質実効為替レートの範囲内に収まることが多くなっています。名目の為替レートでドル円が100円を切ったことはほとんどないので110円を割って100円に向かうとずいぶんな円高という感覚を持つかもしれませんが、実質実効為替レートの数字も頭の片隅に置いておいた方がよさそうです。


※ここ最近のベネズエラのように、固定相場制などで恣意的に為替レートがゆがめられている場合は実質実効為替レートが大きくぶれることがあります

【参考】同じような内容を先に書かれていたブログ
109円台のドル円相場、実質相場でみた位置は? ( その他金融と投資 ) - たけなか まさはる - Yahoo!ブログ


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