Global Investment Returns Yearbook 2014

株式と債券、共に伝統的資産とも呼ばれており投資の王道です。(これにもう一つ足すとすれば不動産でしょうか)
一般的に株式と債券では、株式がハイリスク(・ハイリターン)、債券がローリスク(・ローリターン)と言われます。

実際、日本の代表的な株式インデックスであるTOPIXと債券インデックスであるNOMURA-BPI総合(に連動する投資信託)の動きを確認すると株式の方が値動きが大きくなっています。他の国を見ても通常は株式の方が値動きが大きくなっています。

そこで「株式はハイリスクなので、ローリスクな債券を組み入れてリスクを下げる」というポートフォリオの話も出てきます。

この考え方は正しいと思うのですが、少し視点を変えて見てみたい。


平穏な中では暴落と呼べるような相場の変動があっても債券はローリスクであり、資産が傷つくのを守っています。
では、平穏な状況とは言えないような非常に大変な事態が起こった場合にはどうでしょうか。

以前も紹介した『Global Investment Returns Yearbook 2014』のグラフを再度掲載します。
1900-2013の株式/債券の値動き(世界)
『Global Investment Returns Yearbook 2014』より

世界の株価と債券の値動きを見ると1910年代後半〜1920年代前半にかけてリーマンショックなど話にならないほどの大暴落があることが分かります。
この際に債券の下落も非常に大きく、何ら株式の下落のショックを和らげる効果を発揮していません、


単一国で見てみます

1990-2013_worldstocks

『Global Investment Returns Yearbook 2014』より

単一国で見ると、1910年代後半〜1920年代前半にかけて多くの国で大暴落が起きています。ここでも、株式のみならず債券も大きく下げており、その下落幅は債券の方が株式より大きい国が結構あるということです。
敗戦国のドイツで債券が大きくやられるのは非常に分かりやすいですが、戦勝国であるイギリスなどでも債券が株式以上に下落していることもあります。

マッドマックス(もしくは北斗の拳)のような文明が失われて秩序が崩壊した世界まで行かなくても、国家の一大事クラスの話があった時には債券は資産を守る緩衝材の役割を果たさないかもしれません。

国や地方地自体の発行する債券はその信用で成り立っているため、国家が安定している間は良いのですが、国家が傾くような事態になった際にはいきなり崩れることがあるとも言えそうです。
一方、株式指数は多くの企業の集合体であり、たとえ国が倒れたとしても、そこで生活する人がいる以上は何らかの経済活動が行われており、国家が消滅することがあっても株式は完全に失われることはないということかもしれません。


まとめ

一般的に「株式はハイリスク、債券はローリスク」ということで間違いないでしょう。
ただし、それはある程度平穏な時代という前提条件の上に成り立つものであって、深刻な危機の場合は通用しないロジックなのかもしれません。

正確にいつからというのは難しいですが、世界が本格的につながりだしたのは、蒸気船や蒸気機関車など実用化されて広まった19世紀前半頃でしょうか。そして、さらに世界が狭くなった20世紀には2度の世界大戦がありました。幸いにもここ70年ほどは同じような世界大戦は起こっていません。しかし、各地で戦争や紛争は絶えず発生しています。また、戦争に限らず、国家の破綻という事例は起こっています。

数十年という一個人の寿命から見れば、十分に長期といえる期間投資をすることを考えた場合、このような自体が起こりえるということを頭の片隅に入れておいてもよいと考えています。


※おまけ:
「なら、どうすればいい」という声も聞こえてきそうですが、戦争で国土がボロボロというような状態で個人で資産をうまく絶対の策は無いでしょう。そもそも仕事も無く、住む家や土地も失ったという事態になっているかも…



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