
5年ほど前に将来の必要額は名目価値ではなく、実質価値で見積ろうなどと書きましたが、この手のネタは定期的に書いておきたい。
「昔は銀行に預金しているだけで年6%や7%の金利がつく時代だった。今後、預金金利が6%や7%になったら投資なんてしないで預金だけで十分だ」
時々、上の様な話を聞きます。これは正しいでしょうか?
もう1問出してみます。(本当は株価で問題を出したかったのですが、株価だと他のノイズが大きくて扱いにくかったのでGDPを使います)
「以下はIMFのデータから作成したアメリカのGDPのグラフですが、2009年を除いてアメリカは常に前年度比で経済成長しているでしょうか?」

グラフを見る限りは2009年以外は常に経済成長していて、特に20世紀は1991年を除いて4%を上回り続けています。
●ヒント
今後はGDPを除き、失業率をグラフに追加してみました。

これを見ると1982年には2009年/2010年を超える9.71%という高い失業率になっていますが、GDPは4.17%も伸びています。
●答え: 常に経済成長し続けてはいない
もう一つ、同じIMFのデータからアメリカの経済成長率のグラフを作成しました。最初のグラフで描いた経済成長率と一緒に載せています。

このもう一つの経済成長率は順風満帆ではありません。
1982年はリーマンショックのピークである2009年に近いマイナス成長です。1991年にもわずかですがマイナス成長になっています。
また、最初のグラフでは12.17%と最も高い成長率となっていた1981年の成長率は、グラフ2では2.59%であまり高い成長率ではありません。
1980年代当初、アメリカのインフレ率は10%以上もありました。つまり、経済が停滞していてもモノやサービスの価値を表現する名目の数字は勝手に10%以上増えるので、名目GDPや名目経済成長率はプラスになっていました。
実質経済成長率は「名目経済成長率-インフレ率」になります。
仮にお金が100円から110円に増えても、100円のモノが120円に値上がりしていたら購買力は落ちます。
本質的に重要なのは実質の数字です。
年率6%の金利が貰える預金でも、世の中のインフレ率が6%を上回っていれば金利6%の預金の実質的な価値は目減りしています。最初の問題の答えは、「その時のインフレ率次第」とも言えます。
高インフレの国では金利は非常に高くなりますが、それが有利な金利ということではありません。
名目/実質リターン
名目/実質金利
名目/実質GDP
名目/実質賃金
…
…
名目と実質の数字ははっきり区別しましょう。

これを見ると1982年には2009年/2010年を超える9.71%という高い失業率になっていますが、GDPは4.17%も伸びています。
●答え: 常に経済成長し続けてはいない
もう一つ、同じIMFのデータからアメリカの経済成長率のグラフを作成しました。最初のグラフで描いた経済成長率と一緒に載せています。

このもう一つの経済成長率は順風満帆ではありません。
1982年はリーマンショックのピークである2009年に近いマイナス成長です。1991年にもわずかですがマイナス成長になっています。
また、最初のグラフでは12.17%と最も高い成長率となっていた1981年の成長率は、グラフ2では2.59%であまり高い成長率ではありません。
種明かし: 経済成長率1は名目GDP、経済成長率2は実質GDP
お分かりの方も多いかと思いますが、以下の違いです。- 経済成長率1: 名目経済成長率
- 経済成長率2: 実質経済成長率
1980年代当初、アメリカのインフレ率は10%以上もありました。つまり、経済が停滞していてもモノやサービスの価値を表現する名目の数字は勝手に10%以上増えるので、名目GDPや名目経済成長率はプラスになっていました。
実質経済成長率は「名目経済成長率-インフレ率」になります。
仮にお金が100円から110円に増えても、100円のモノが120円に値上がりしていたら購買力は落ちます。
本質的に重要なのは実質の数字です。
年率6%の金利が貰える預金でも、世の中のインフレ率が6%を上回っていれば金利6%の預金の実質的な価値は目減りしています。最初の問題の答えは、「その時のインフレ率次第」とも言えます。
高インフレの国では金利は非常に高くなりますが、それが有利な金利ということではありません。
名目/実質リターン
名目/実質金利
名目/実質GDP
名目/実質賃金
…
…
名目と実質の数字ははっきり区別しましょう。
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