資本主義 欲望

「我欲」「私利私欲」

一般的にはネガティブな意味で使われる用語です。「強欲資本主義」などともと言われて近年の資本主義が批判されることもあります。しかし、人の欲をうまくコントロールして良い社会を構築していこうということにおいて資本主義は非常に優れた制度ではないでしょうか。

人間には私利私欲があります。

「よりいい暮らしがしたい。他人に尊敬されたい。」

資本主義はこれらの欲によって社会に良い影響を及ぼす仕組みがあります。
資本主義の世界で、いい暮らしをするのに大事なものは金(カネ)です。いい暮らしをしようとしたらカネが必要です。

そして、大金を稼ぐ王道は、会社を創業して自社の製品やサービスが大ヒットすることです。
資本主義の世界においてモノやサービスが大ヒットするのは、買い手からそれが良いと評価されるからです。「機能が優れている」「コストパフォーマンスが良い」「便利だ」「面白い」など、買い手が欲しいものを満たすからこそ売れます。粗悪な商品やサービスは支持を得られずに売れません。

このように、欲を持つ人は良いモノ・サービスを提供しようとすることになり、社会にとっていい影響を及ぼします。しかも複数の人が同じように大金を稼ごうという強い欲を持っていると、そこには競争が生まれて良いモノ・サービスの開発が加速されます。

一方、旧ソ連の計画経済ではありませんが、このような欲による自由な競争を認めずに計画的に行うとなると、多種多様な観点からの発想などが生まれずに良いモノ・サービスが生まれません。(日本でもお役所がかかわるプロジェクトで革新的なものはそう生まれない…)
また、最近では大儲けして大金持ちになった人たちを許さんという意見もありますが、大ヒット商品を生み出しても金持ちになってはいけないとしたら、そんな商品を開発する意欲もなくなります。

「リスク取って創業して最初の数年は赤字にも耐えて個人資産もつぎ込んで、同時期に創業した人たちの多くは討ち死にしていって、その中で生き残って成功した人が金持ちになっていけない」なんてことになったら、革新的なものに挑戦する人たちが非常に少なくなります。

イギリス首相だったチャーチルの名言として「民主主義は最悪の政治形態であると言える。ただし、これまで試されてきたいかなる政治制度を除けば。」というものがありますが、彼は資本主義についても名言を残しており「資本主義の欠点は、幸運を不平等に分配してしまうことだ。社会主義の長所は、不幸を平等に分配することだ。 (The inherent vice of capitalism is the unequal sharing of blessings. The inherent virtue of socialism is the equal sharing of miseries.)」と言っています。

巧いことを言います。
資本主義にも欠点はありますが、欲望の方向性をある程度誘導することで社会全体で豊か・幸せを目指せる良い仕組みではないでしょうか。



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