天秤 Libra「一括投資かドルコスト平均法か」という古くて新しい問題を、わかりやすく図解してみた (梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)というモノがありました。
この中では、状況に応じて一括投資ドルコスト平均法かをフローチャートで分かりやすくまとめられています。一括購入ドルコスト平均法かで迷っている人がいたら参考にして欲しい図です。


しかし、その図の中では自明とされている「手元資金があって、タイミングが読めない」というケースでもドルコスト平均法一括投資かという話がされることがあります。

具体的には退職金3000万円をもらっての投資などのケースです。ここで「分散してバイアンドホールドで投資しましょう」と言いつつ、「時間分散させましょう。買うタイミングを分けて購入することで高値掴みを避けられます。具体的にはドルコスト平均法という毎月定額で購入する方法があります。」のような説明がされます。

これに対する回答は、「投資タイミングを分けることでしばらくの間は、手元での待機資金が多くなるので、機会損失だ。だから一括投資でいい」ということになります。
しかし、それでは納得しない人がいます。「一度に投入すると高値掴みの可能性があって暴落したら大きく損をする・・・」という返答をしてきます。


これは2つの意味で変です。

暴落を想定したリスク許容度のアセットアロケーションじゃないの?

「投資対象の分散」の時点で、この資産配分なら常識的に起こりえるだろう暴落が来ても大丈夫というリスクに抑えているはずです。そのポリシーに従って一括投資しているのであれば、暴落は想定内のはずです。

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一括購入して想定通りのアセットアロケーションを組んだのに「暴落が困る」というのなら、それは想定アセットアロケーションがリスクを取りすぎでしょう。そこはドルコスト平均法でリスクを緩和するのではなく、アセットアロケーションの見直しが必要です。

また、上記の右図はまとまった資金でドルコスト平均法実施中のアセットアロケーションですが、これは明らかに想定アセットアロケーションと大きく乖離しています。このような想定アセットアロケーションとの乖離が大きい時間を続けることが望ましくありません。


ちょっと時間を分散しても長期で見ると大した意味はない

以下はニッセイ日経225インデックスファンドのここ10年のチャートです。(Yahoo!ファイナンスから)
ニッセイ日経225インデックスファンド

2007年に山があります。
この前後の時期に購入を検討していた場合、「一括購入の高値掴み」を避けることは、2007年の6-7月の山で買うのを避けることになるかもしれません。

仮に2007年の1年間でドルコスト平均法で時間分散していれば、確かに6-7月の高値のみで購入することは避けられたかもしれません。しかし、その後の谷から見ると「それってどんだけ意味あったの?」という程度です。
ドルコスト平均法の期間を2年間とより長くとっても2006年1月〜2007年12月であったなら、この長期チャート上はほぼ高値圏であり、暴落時のダメージはあまり緩和できません。

一括購入においてピンポイントで高値掴みしてしまう可能性を考えるのであれば、当然にドルコスト平均法でもドルコスト平均法実施期間中に高値圏が続いた後に暴落ということも想定されるはずです。

期待リターンがプラスとされる投資において、高値掴みを避けて高値圏掴みで済ますために追い求める意味のあることでしょうか。

高値掴みを避けたければ投資しないことが一番であり、中途半端に逐次資金を投入していくことに合理的な意味はありません。もちろん、気休めという大事な心理的効果はあります。



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