りそな 毎月払出しファンド


りそな銀行が販売している投資信託で「毎月払出し」シリーズがあります。毎月分配型の投資信託ですが、他の一般的な毎月分配型の投資信託と異なる仕組みをもっています。
それは、毎月の分配金の金額が事前に定額で決められていることです。

毎月分配型投信には「運用会社が勝手に払戻額を決めてしまう」という致命的な問題がありました。
分配金が大きく引き下げられたり、客寄せのために分配金を増やしたり・・・と運用会社の都合で払戻金が決まっていました。


従来の毎月分配型の投資信託は上記のような致命的な問題がありました。

毎月分配型にニーズあるという主張の一つとして「リタイア/年金受給世帯が運用資産を取り崩して年金だけでは足りない分を補完するニーズがある」がありますが、そうであれば、従来の毎月分配型投信はそのニーズに応えてはいませんでした。
運用会社が勘案して分配金額を引き上げたり/引き下げたりするので、年金の補完として安定的に必要な額を取り崩すというニーズには応えられていませんでした。


上記は以前に示した純資産総額ナンバー1ファンドのフィデリティ・USハイ・イールドFの基準価額と分配金ですが、分配金の金額は運用と販売戦略の都合からコロコロと変わっています。これでは、仮に「リタイア/年金受給世帯が運用資産を取り崩して年金だけでは足りない分を補完するニーズがある」としても困る話です。

さて、上記のようなニーズがあるとすれば、それに応えるために設計されたのが、りそなの「毎月払出し」シリーズです。


基準価額が償還水準を割って償還されるまで1万口当たりの分配金の金額は変えないというように、一度決まった口数を購入しておけば、償還までは確実に毎月同じ金額の分配金を貰えます(税金等を考慮しない)。
また、分配金を多く欲しい人や小額でいい人のニーズに応えるように複数の分配金払出し水準が用意されています。
例えば、「りそな毎月払出し・豪ドル債ファンド3」では以下のようにA,B,Cと1万口当たりの分配金が異なる3つのコースが用意されています。
    • A: 毎月100円
    • B: 毎月50円
    • C: 毎月30円

このように「リタイア/年金受給世帯が運用資産を取り崩して年金だけでは足りない分を補完するニーズがある」に応える商品が出てきた…と思ってウォッチしていたのですが、全然広がりません。
毎月分配金のニーズが真にそれであるなら、このような仕組みの投資信託に資金がもっと集まってもいいでしょうし(りそなの販売力不足?)、他の会社が同様の仕組みの投資信託をもっと設定してきてもいいはずです。しかし、りそなのこのシリーズはあまり資金は集まりませんし、他社も追従してきません。

今のところは、毎月分配型ファンド自身を潰す分配金競争でも書いたように、なるべく高い分配金を出して分配金利回りを高くして顧客を獲得するというのが主流のビジネスモデルであり、毎月分配型投資信託を購入する人も分配金の高さで投資信託を選んでいるように思います。

野村アセットマネジメント 第6回 投資信託に対する意識調査
第6回 投資信託に対する意識調査 (野村アセットマネジメント) より

上記は野村アセットマネジメント第6回 投資信託に対する意識調査からの抜粋ですが、「生活費・年金・小遣いの足しとして使っている」という回答はそう多くなく、それよりも「使わずに貯金」「同じ商品を買うが多くなっています。

資産を取り崩して年金の不足分を補う…というニーズはありますが、そう大きくないということでしょう。




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