
生活防衛資金という考え方があります。
投資戦略の発想法
生活防衛資金を確保しておくという考え方に賛成という人の中でも細かい話になると考え方が分かれもします。その最たる点は確保しておくべき金額であり、「金額は生活費3か月分でいい」という人や「いやいや2年分の生活費は確保しておくべし」という人もいます。
しかし、今回はその確保しておくべき金額の話はしません。
いざという時には、どういう優先順位で取り崩すのか
今回取り上げたいのは、何らかの事情で「いざお金が必要となった時にどういう順番でお金を取り崩すのか」です。順に説明していきます。

上記のように、まずは日常の出費に使うためのお金が必要です。光熱費の引き落としのお金が無いようでは困ります。それら日常生活で発生するような出費を賄った上で生活防衛資金を貯めていきます。
ここがポイントですが、今回は「まず生活防衛資金を貯めてから投資をしよう」というスタンスとして話をします。つまり、お金の優先順位は以下の通りです。

- 日常生活費もない人は、投資したり、生活防衛資金を貯め足りしている場合ではない
- 日常生活費はあるが、生活防衛資金をちゃんと確保できていないのに投資はしない方がいい
では、以下のように生活防衛資金も貯まって投資もしている時に、何かが起こって日常生活費ではお金が回らない事態になったらどうしましょう?
例えば、失業して収入が減って生活費を取り崩してきたが、それだけでは足りなくなったような場合です。お金が足りないのですから、「生活防衛資金」か「投資資金」のどちらかを取り崩すことになりますが、どちらを取り崩しますか?

1. 投資資金を取り崩した場合
投資資金を取り崩して日常の生活費に充てたとします。この場合は下図のようになり、生活防衛金は必要確保額が確保されたまま投資資金が減ります。つまり、コツコツ積立投資してきたのであれば、最近の積み立て分がなかったことにされたようなものです。

2. 生活防衛資金を取り崩した場合
生活防衛資金を取り崩して日常の生活費に充てたとします。この場合、少し不思議なことになります。生活防衛資金を削ったのですから、生活防衛資金は確保しておきたい金額を割ります。一方、投資資金には手を付けていないので、投資資金が残っています。

これは、絵としては生活防衛資金を必要額確保していないうちに投資しているのと同じになってしまいます。
ここがポイントですが、今回は「まず生活防衛資金を貯めてから投資をしよう」というスタンスとして話をします。つまり、お金の優先順位は以下の通りです。このスタンス/優先順位からすると、投資資金を解約するより先に生活防衛資金に手を付けるとおかしなことになってしまいます。
- 日常生活費もない人は、投資したり、生活防衛資金を貯め足りしている場合ではない
- 日常生活費はあるが、生活防衛資金をちゃんと確保できていないのに投資はしない方がいい
このように考えていくと、いざという時にはまずは投資資金を解約して取り崩していき、生活防衛資金は投資資金が枯渇してから初めて手をつけるというのがいいのでしょうか?
生活防衛資金については、いろいろな考え方がありますが、生活防衛資金の考え方を取り入れている投資家の方々は、その位置づけ(特に取り崩し方)はしっかり整理しておいた方がよいでしょう。
※おまけ
上の様なきれいな資金の優先順位の話だけではなく、「安心して投資を続けられるために生活防衛資金を確保しておくのだ」のように別の切り口もあります。
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この記事とは少し異なるかもしれません。
私は生活防衛資金を、
「何らかの事情でリスク資産の価値が毀損した際の手当て」
と位置付けています。
すなわち、例えば持っていた株が
倒産により紙くずになった場合などです。
インデックス投資では資産価値がゼロになるというのは
極めて低い確率ではありますが、
それでも全く無いとはいいきれませんし、
世界的な恐慌などで、株、不動産、債権などあらゆるアセットが
連動して大きく価値を下げる事もあります。
こういう時に、もし病気や怪我など急に大きな出費があると
通常の収入と日常生活費がバランスしていた場合、
資金がショートしてしまう可能性があります。
失業などにより収入がなくなった際に、
リスク資産から取り崩すのか、預貯金などから取り崩すのかは、
本来の生活防衛資金の意味から考えると当然リスク資産から、
という事になりますが、
その時の経済情勢によっても柔軟に対応していこうかと思っています。