アブラハム・ウェルスマネジメント いつかはゆかし アブラハム・プライベートバンク

<※2015/1/9 0:45 更新あり>
2013年から2014年の初頭にかけて、このブログで幾度と取り上げたアブラハムグループの話です。(参考: 過去にアブラハム関係で書いたエントリーたち)

いつかはゆかしに関するアブラハム・プライベートバンクへの行政処分以来、特に大きな動きはなかったアブラハムグループに新たな動きがありました。アブラハム・ウェルスマネジメントという会社を立ち上げて新しいサービスを提供するようです。(アブラハム・ウェルスマネジメントの公式サイト)


(1) 会社について

代表取締役は、アブラハム・プライベートバンクや親会社のアブラハム・グループ・ホールディングスと同じ高岡壮一郎氏。高岡氏以外の取締役はアブラハム・プライベートバンク同様に塩谷薫氏と横山直樹氏です。

また、業者としての登録は金融商品仲介業者とのことです。


(2) サービスの内容

顧客の入会資格は金融資産2000万円以上とのこと。そして、料金は年会費49,800円(税抜き)ポッキリ。

仮に月5万円の積み立てから始められ、大々的に宣伝を打って顧客を集めたいつかはゆかしの1/10の360人が入会しても5万円×360人だと1800万円/年の収益であり、とてもビジネスは成立しないでしょう。

金融商品仲介業者なので、どこぞの金融商品取引業者の商品を紹介するはずですが、その仲介手数料で稼いでいくビジネスモデルのようです。いつかはゆかしでもハンサードの商品を勧めてハンサードから手数料を貰うビジネスモデルでしたので同じような形です。

<2015/1/9 0:45 更新>
※紹介するのは、PWM日本証券株式会社のようです


●具体的なサービスの中身
これはよく見えていませんが、サービスの内容によると「元本確保型の財産保全ノウハウ」なるものを提供することがメインのようです。

また、よくある質問コーナーには、ドル建て元本保証に関する質問があり、回答に以下のような言葉があるので、ドル建ての元本確保型の商品を仲介するように見えます。
    • 「富裕層に特化したインフレ対策ノウハウ」
    • 「米国財務省証券を活用した元本確保型の財産保全ノウハウ」
    • 当社が提供するノウハウのポイントは、万が一、円の資産価値が3分の1になる場合に備えて、資産家の財産を長期的に守ること
なお、Googleにて米ドル建 元本確保型で検索すると、いくつか商品が見当たりますが、そんな商品と同じようなものだと予想されます。外貨建ての元本確保型運用をすることはそう難しくなく、この手の○○通貨建元本確保型の定番は、「元本保証のゼロクーポンの国債を満期時に投資元本となるだけ購入して残りでリスク運用」です。

米ドル建元本確保型 外貨建元本確保型 豪ドル建元本確保型
※クリックで拡大します

アブラハム社が高らかに謳う「米国財務省証券を活用した元本確保型の財産保全ノウハウ」がどのようなモノか分かりませんが、仮に上記のようなものであった場合には、自分でゼロクーポン債のアメリカ国債を使えば同じようなことはできます。 (例えば、野村證券の既発外貨建債券などでゼロクーポン債は買えます)


(3) 商品仲介というが、どこの商品が紹介されるの?

今のところはアブラハムのサイトには説明はありません。
金融庁の金融商品仲介業者リストへの掲載待ちです。(ブログ執筆時点では平成26年11月30日現在とのことでアブラハムはリストに未掲載)


(4) ちょっとググって見つからなかったら存在しないのか?

[日本初] 元本確保型提案に特化 富裕層向け財産保全コンサルティング事業を開始というプレスリリースを出しています。
日本初(注1)の元本確保型の提案に特化した富裕層向け財産コンサルティング事業を開始いたしますので、お知らせ致します。
(注1)「富裕層 元本確保 ファイナンシャルコンサルティング」等で、グーグル・ヤフーにて検索して確認(2014年12月22日)

しかし、ちょっと待て。グーグル・ヤフーでちょっと検索して見つからなかったら世界(日本)に存在しないってことにしていいのか? いや、イカンでしょう。

アブラハム・プライベートバンクにおける行政処分内容及び改善内容一覧でも書いているように、以下のような指摘を受けています。それにもかかわらず、ちょっと検索して見つからなかったから「日本初」ってのはおかしいでしょう。
当社は、自社ウェブサイトにおいて、「類似の資産運用サービスと比較した場合、アブラハム・プライベートバンク株式会社の手数料は、業界最安値でございます。」と記載し、併せて、当社の調査に基づき作成した比較資料をその根拠として掲載している。
 しかしながら、当社は、他社のサービスとの手数料比較に際して、当社の助言手数料を下回るサービスが存在することを認識しながら、あえて当該サービスを比較対象に含めず、それ以外の事業者との間でのみ手数料を比較している。

この指摘に対する反省及び改善策を「比較対象範囲を詳細に明記すべきでした。」としているから、比較対象範囲を詳細に明記したってことなのでしょうが、そりゃないぜ・・・というのが正直な感想です。

社長の高岡氏は自身のブログの2015年 アブラハム グループ 創業10周年に向けてにて「上場準備を進めていく所存です。」と謳っていますが、「ググって見つからなかったから我が社が最初!」というプレスリリースを出す感じで目指すんですかね・・・


(5) おまけ

よくある質問のQ3:御社の提供するノウハウを使えば、米ドル建てで元本確保は絶対ですか?どうしても財産を減らしたくありません。への回答として以下のような記載があるのが面白い。
お客様自身のご都合で、米国財務省証券を途中売却した場合には、元本は確保されないのでご注意ください。しかしながら、本ノウハウを用いて、米国財務省証券を満期まで保有した場合には、お客様の財産は、アメリカ政府によりドル建てで元本は保証されます。
(下線は私が付加しました)


途中売却は市場で売却するので元本割れの可能性があるので最初の文は正しい。しかし、米国財務省証券を満期まで保有すれば、アメリカ政府はドル建で元本保証しますので、本ノウハウは一切関係ありません。「本ノウハウを用いて」という前提条件は蛇足ですね。





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