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株式、FX、投資信託などで資産を運用していると、しばしば目にするのが投資投機

この2つを区別しなくても死にはしないのですが、あえて「投資とは〜、投機とは〜」と区別することもあります。そこにはいろいろな考え方もありますが、多いのは以下のような分け方です。
    • 投資はプラスサム
    • 投機はゼロサム/マイナスサム
こういう考え方もありますが、個人的にはこの考え方はなじみません。

仮に、ある金持ちが道楽で100人を集めて、以下のようなゲームをやったら投資でしょうか。
    • さいころの丁半ばくちで1回勝負
    • 掛金は1000万円
    • 丁か半のどちらかの1点張りのみ
    • 当たれば2100万円もらえる
    • 外れれば1000万円は没収
当たれば+1100万円、外れれば-1000万円ですから期待リターンはプラスの丁半博打です。(ようするにゲームのオーナーが持ち出しを覚悟している道楽)

これを「プラスリターンだから投資だ」と言ってよいものでしょうか。

数字は連続したものであり、ゼロサムとプラスサムの境界なんてのわずかな違いです。ルーレットでもマージャンでも何でもいいのですが、±0と+0.0000000000000000001の間に天と地ほどの差があって「投資」「投機」という区別になるというのは何やら落ち着きません。


投資とは、資金を何らかに投じて、その資金を使ってより大きな価値を得ようとする行為


この考え方が投資の基本だと思います。
投資の代表的な例の一つは新しい工場や機械などを購入するといった設備投資でしょう。設備を購入することで、その設備が生み出すモノ/サービスで投資した資金以上の果実を得ようとする行為です。これは投資の代表例です。

また、株式は企業への出資です。ある事業を行う人に事業活動を行うための資金を提供し、そのお金で事業を行って儲けたらそれをいただくというのが株式投資です。これは投資です。
株式を市場で売買するのは、この権利を売買していることであり、株式を購入するということは他の人が出資した資金の権利を買うということです。「自分がある企業の出資者になりたい」と株を購入し、その企業が生み出した価値やその企業自体の価値の上昇といった果実を受け取ろうとする行為は投資でしょう。

もちろん、株価は企業の本質的価値に常に連動するわけではなく需給の関係等で大きく動くわけで、この需給の関係の値動きに賭けることもできます。
同じ株式を使うにしても、これは投機でしょう。
「●●の数字が上がるか下げるかに賭ける」という話で (その読みの要素の複雑性などに差はありますが) バカラなどと変わりません。

インデックスファンドETFを使った資産運用も同じように考えています。
インデックス投資では広く分散された投資信託を購入するので個別の企業を選んではいませんが、「不完全ではあるものの人類は馬鹿ではなく、世界経済は発展し、そのエンジンである企業は新しい価値を生んでいく」と考え、その企業たちに投資しています。彼らが生み出す価値によって彼らの価値も上がっていく、その果実を得ようとしています。
同じくインデックスファンドETFを活用しても、特定のイベントでの値上がりや値下がりに賭けるのはインデックス投資とは別物です。


プラスリターンか否かは投資/投機の区別の本質とは考えていません。
ある企業が設備投資するときにその期待リターンは必ずしもプラスとは言えません。馬鹿な経営判断による愚かな投資ということもありえます。しかし、設備投資の妥当性を検討して「これは設備投資」「これは設備投機」などと区別はしない。


【参考】似たようなことを4年以上前に書いたもの:投機と投資の区別





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