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投資において「どうやったら儲かるか」を考える時、過去の実績を過大評価してはいけません。


少し投資から離れます。
サッカーのようにプロスポーツの世界では、前年に活躍すると翌年の契約では給与が上がったり、ビッグクラブからオファーが来ることが一般的です。
香川真司はドルトムントでの活躍が認められてマンチェスター・ユナイテッドからオファーが来ました。ハメス・ロドリゲスはワールドカップでの活躍が認められてレアル・マドリードが高額の移籍金で獲得しました。
これは「過去の実績が、ある程度将来の結果を保証する」という前提に立っている判断です。この傾向は正しく、一軍で活躍した選手はリザーブチームでくすぶっている選手よりも来年も活躍する可能性は高いのがプロスポーツの世界です。
これはプロスポーツに限りません。素晴らしい演奏をした演奏家は次のコンサートでも素晴らしい演奏をする可能性は高く、うちの娘にコンサートで演奏をさせて素晴らしい演奏をする可能性は0です。
仕事においても前回素晴らしい翻訳をした人は次回も素晴らしい翻訳をする可能性大ですし、美味しいと評判のレストランの料理は明日も美味しいでしょう。

しかし、投資の世界にこれを持ち込むと話は違ってきます。

●2013年に絶好調だった銘柄の今年のパフォーマンスは?

昨年成績の良かった銘柄が今年も成績がいいかと言うとそうではありません。

例えば、2013年の日本株上昇率トップ5は以下の通りだったようです。
    • 2489 アドウェイズ: +1890%
    • 6871 日本マイクロ: +1827%
    • 2497 UNITED: +1343%
    • 3753 フライト: +1068%
    • 3623 ビリングシス: +1038%
※参考:kabutan

5位でも年率で+1000%超えとTOPIXや日経平均をはるかに超える成績を残しています。ところが、これらの銘柄の2014年の成績は酷いものです。この2014年12月5日までの株価チャートは以下の通り。
2014_topstocks

日経平均が7年4か月ぶりの高値更新などと言っている中、一番成績がいい日本マイクロですら-19%で、その他の銘柄も-50%前後と悲惨この上ない成績になっています。

これは投資信託でも同じようなことが言え、ある時に好調だったファンドがその後の好調も約束されているわけではなく、翌年には沈むことがよくあります。


●シミュレーションからもわかる期待リターン算出に過去平均法が使えないこと

ニッセイ基礎研究所の過去平均法で予測する期待リターンとリスクって妥当なの?によると、「真の分布」の期待収益率とバラつきをシミュレーションしたところ以下のようになったとのことです。
過去平均 真の分布 期待リターン 標準偏差


「真の分布」の期待収益率とは実際のその商品の期待リターンということですが、過去5年程度のデータでは実際とは話にならないほどに外れています。過去20年くらいでも真の分布である6%前後に収まることはなく、100年分でも誤差20%レンジにはほど遠い。1000年でやっと誤差20%レンジです。

つまり、過去数年のリターンを単純に平均してそのファンドの期待リターンとするのは全く話にならないということです。それは同時に、単純に過去の実績リターンを将来のリターン予測に使えないということも示しています。


つい、今まで良かったものは良いと考えがちですが、上で見てきたように、投資商品ではいい成績を残してきたものが将来もいい成績を残すわけではありません。
資産運用/投資において「過去の実績」と「将来の期待」は明確に分けるべきです。



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