ここ最近リバランスについて考えていたところ、カン・チュンドさんがブログでと書かれていたので、触発されてリバランスについて書いてみます。(って昔にも書いていますが…)
リバランスとは
アセットアロケーションを決めて運用していても、各アセットの値動きによって資産配分の比率が変わってきます。その乖離幅が大きくなっていたら、それを解消することがリバランスと言われます。具体的には当初のアセットアロケーションと許容幅として以下のようなものを決めていたとします。
そして、許容幅を超えた変動があった場合には、比率が増えたアセットを売却して、比率が下がったアセットを購入するといったような手順になります。
資産が少ないうちは資金流入時の購入アセットの調整で、アセットアロケーションを調整することもできますが、ある程度大きくなるとこれだけで調整するのは難しくなります。
さて、先に「乖離幅が大きくなっていたら、それを解消することがリバランス」と書きましたが、必ずしも乖離幅が許容幅を超えた瞬間に実施するとは限りません。
1番のやり方のように自身のアセットアロケーションを常時確認しておいて、超えたらすぐに実施というやり方もあります。これはアセットアロケーションを正しく保ちリスクを管理するという点では優秀です。
しかし、実務として考えるとアセットアロケーションの監視が発生しますし、リバランスが頻回になる可能性もあります。売買の回数が増えればそれだけコストも増えるわけで、やりすぎはコストによってリターンを押し下げてしまいます。(特に後述の上下限に戻す場合は取引回数が多くなる場合あり)
2番のやり方は、実務的には1番よりずっと簡単です。
四半期や半年や1年や3年…のように定期的に期間を設けておき、そのタイミングが来たらアセットアロケーションを確認して、必要とあらばリバランスする方法です。
この方法のメリットは、常時アセットアロケーションをチェックしていなくていいこと、リバランスの回数が少なくとも見直し回数以下になるので頻回の売買を避けられることがあります。ただし、リバランス時期が来ないと歪みが生じても調整しないのですから、過剰にリスクを取りすぎている可能性もあります。
どの頻度でリバランスをしたらいいかという話になると、同じような条件で実施しているせいか、過去のデータから1年や3年程度がよさそうだというシミュレーション結果が多数あります。(だいたいは、「リバランスなし」「1ヶ月」「3か月」「6か月「1年」「3年」あたりで比較しているケースが多い)
海外のデータも「rebalance frequency」や「rebalance how often」などで調べるといくつか引っかかりますが、大体は1年程度のリターンがよく、頻繁すぎるリバランスはそのコスト増ゆえかリターンを落とすようです。
リバランスでどういう比率にするかが問題です?
「比率を元に戻すんだからアセットアロケーションで定めた目標の比率に合わせるに決まっているだろ」ですか?
そう簡単ではありません。
仮にあるアセットを「目標比率15% / 許容幅±5%」としていて、そのアセットが23%になっていた場合には15%に戻すというのが完全に元の比率に戻すことになります。
しかし、アセットアロケーションには許容幅があります。仮に比率が増えていても18%だったらリバランスしなかったわけです。「それなら18%までしか戻さなくてもいい」「いや元々20%までOKなんだから20%まででもいいんじゃないのか」という声も出てきておかしくありません。
このようにすれば、売買する量が減りますので売買コストを抑えることができます。
比率を完全にそろえるメリット vs 比率は不完全ながらも許容範囲内で取引コストの低減メリット
どちらが勝つかは簡単には言えないところです。
しかし、許容幅の上下限までしか戻さないやり方は、再びすぐに許容幅を超えそうなので結果としてリバランスの回数が増えて取引コストも上がりそうです。(参考:リバランス戦略の効果について. 〜政策アセットミックスのリスク管理〜)
この辺りは投資にかけられる労力や資金量によって異なるのでしょうが、通常の個人投資家であれば、ほぼ目標比率に揃えてしまっていいと思います。
GPIFのように巨大な組織になれば、1%の売買だけでもマーケットにインパクトを起こしかねないのであまり過大な取引ができませんが、個人投資家の資金量ならそのような心配はまずありません。
シンプルにほぼ目標比率に近づけるというので十分ではないでしょうか。
資産が少ないうちは資金流入時の購入アセットの調整で、アセットアロケーションを調整することもできますが、ある程度大きくなるとこれだけで調整するのは難しくなります。
いつリバランスするの?
リバランスのタイミングとしては、主には以下の2つのアプローチがあります。- 許容乖離幅を超えていたらそのタイミングでリバランス
- ある一定期間毎にアセットアロケーションを見直して、その時に(許容幅を超えている場合は)調整
さて、先に「乖離幅が大きくなっていたら、それを解消することがリバランス」と書きましたが、必ずしも乖離幅が許容幅を超えた瞬間に実施するとは限りません。
1番のやり方のように自身のアセットアロケーションを常時確認しておいて、超えたらすぐに実施というやり方もあります。これはアセットアロケーションを正しく保ちリスクを管理するという点では優秀です。
しかし、実務として考えるとアセットアロケーションの監視が発生しますし、リバランスが頻回になる可能性もあります。売買の回数が増えればそれだけコストも増えるわけで、やりすぎはコストによってリターンを押し下げてしまいます。(特に後述の上下限に戻す場合は取引回数が多くなる場合あり)
2番のやり方は、実務的には1番よりずっと簡単です。
四半期や半年や1年や3年…のように定期的に期間を設けておき、そのタイミングが来たらアセットアロケーションを確認して、必要とあらばリバランスする方法です。
この方法のメリットは、常時アセットアロケーションをチェックしていなくていいこと、リバランスの回数が少なくとも見直し回数以下になるので頻回の売買を避けられることがあります。ただし、リバランス時期が来ないと歪みが生じても調整しないのですから、過剰にリスクを取りすぎている可能性もあります。
どの頻度でリバランスをしたらいいかという話になると、同じような条件で実施しているせいか、過去のデータから1年や3年程度がよさそうだというシミュレーション結果が多数あります。(だいたいは、「リバランスなし」「1ヶ月」「3か月」「6か月「1年」「3年」あたりで比較しているケースが多い)
- 分散投資におけるリバランスの効果(モーニングスター 2010/11/04)
- リバランスの効果(STAM投資ゼミナール 2011/09/22)
海外のデータも「rebalance frequency」や「rebalance how often」などで調べるといくつか引っかかりますが、大体は1年程度のリターンがよく、頻繁すぎるリバランスはそのコスト増ゆえかリターンを落とすようです。
リバランスでどれくらいまで比率を戻すの?
さて、いつリバランスをするかが決まっても、それでリバランスができるわけではありません。リバランスでどういう比率にするかが問題です?
「比率を元に戻すんだからアセットアロケーションで定めた目標の比率に合わせるに決まっているだろ」ですか?
そう簡単ではありません。
仮にあるアセットを「目標比率15% / 許容幅±5%」としていて、そのアセットが23%になっていた場合には15%に戻すというのが完全に元の比率に戻すことになります。
しかし、アセットアロケーションには許容幅があります。仮に比率が増えていても18%だったらリバランスしなかったわけです。「それなら18%までしか戻さなくてもいい」「いや元々20%までOKなんだから20%まででもいいんじゃないのか」という声も出てきておかしくありません。
このようにすれば、売買する量が減りますので売買コストを抑えることができます。
比率を完全にそろえるメリット vs 比率は不完全ながらも許容範囲内で取引コストの低減メリット
どちらが勝つかは簡単には言えないところです。
しかし、許容幅の上下限までしか戻さないやり方は、再びすぐに許容幅を超えそうなので結果としてリバランスの回数が増えて取引コストも上がりそうです。(参考:リバランス戦略の効果について. 〜政策アセットミックスのリスク管理〜)
この辺りは投資にかけられる労力や資金量によって異なるのでしょうが、通常の個人投資家であれば、ほぼ目標比率に揃えてしまっていいと思います。
GPIFのように巨大な組織になれば、1%の売買だけでもマーケットにインパクトを起こしかねないのであまり過大な取引ができませんが、個人投資家の資金量ならそのような心配はまずありません。
シンプルにほぼ目標比率に近づけるというので十分ではないでしょうか。
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