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以前に以下のようなものを書きました。
 ●「分配可能原資」「分配余力」は詐欺師の言葉
 ●分配金のカラクリがよく分かる『週刊ダイヤモンド2011年7月23日号』

ふと、このテーマを思い出して、先に取り上げたラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)を確認してみました。
「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」の運用報告書を見ると、分配可能額は1万口当たり6500円となっており、基準価額4500円を上回っている。投信会計上は、基準価額がセロになるまで、つまりは信託財産の全額を分配金として支払うことも可能だ。

確認したのはモーニングスターのサイトです。
ラサール・グローバルREIT

2014年1月の決算時点での分配可能額は6730円、余力は112.2か月とのことです。

なお、7月31日時点の基準価額は3976円ですので、

ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)の基準価額は3945円であり、毎月の分配金は1万口当たり60円です。分配可能額は6730円あります。これは分配金をこのまま毎月60円ずつ出していくと想定すると112.2ヵ月の余力ということになります。

という説明ができるでしょうか。

止めませんか、こういう説明。明らかに誤認させる表現です。
「分配可能額が6730円」は、この原資は確保されているものと勘違いしてしまいます。


楽天証券が特集でまさにこういうことをやっちゃってます。
毎月分配型投信の「分配金余力」に注目!
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ファンドアナリストのコメントの「中長期に渡って安定したキャッシュフローを確保したいのであれば、足元の分配額にとらわれずに余裕月数が長いファンドを選ぶようにしましょう。」なんて完全にアウトです。
この表で分配余裕月数が長いのはフィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)ですが、明らかに基準価額が分配余裕月数を下回っており、全くあてにならない数字です。
分配金利回りが18%と非常に分配率が高くて基準価額下落圧力の高いラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)は環境が悪化すればすぐに分配金を下げかねない危険水域です。「中長期に渡って安定したキャッシュフローを確保」なんてニーズには合わないでしょう。


こんな勘違いを呼びそうな名前はやめませんかね。
分配可能」って響きがよくない。
分配可能額や分配可能原資などと可能と聞けば、「実際に分配できる」と勘違いしてもおかしくありません。
もちろん分配余力もアウトです。そんな余力はありませんので。



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