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株式投資の話をしていて、「株って儲かるの?」「でもバブルから下がってるよね…」のように株=日本株として話が進むケースがよくあります。日本で日本人同士で話をする場合にはホームカントリーバイアスとして日本の株式に偏るのは当然の話です。
そして、日本株が80年代後半のバブル以降"順調に"低迷しているせいか、「株は危険で儲からない」というイメージや「株は安く買って巧いタイミングで売らないと儲からない」のような声も聞きます。

しかし、少し冷静に考えた方がいいのではないでしょうか。


日本株で株を語っていいの?
世界各国の株式指数をここ20年間のリスクとリターンでプロットしてみました。(※データソースはわたしのインデックス)

先進国20か国の株式のリターンとリスク

選んだのは日本とMSCI Kokusaiに入っている先進国といわれる各国です。
指数は各国分あったという理由からS&P総合指数を使用しています。また、自国通貨建てだけでは上昇/下落しているけど…ということを避けるためにも円建てに揃えてみました。(ドル建てでもよかったのでしょうが、日本人には円建てリターンの方がイメージしやすいので)
なお、S&P総合指数では、ほとんどの国は20年リターンがあったのですが、ポルトガル、イスラエル、ルクセンブルクはその期間のデータがなかったので、これらの国を除いた20か国の比較です。
  • 日本を含む先進国20か国
    • 日本、アイルランド、アメリカ、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、シンガポール、スイス、スウェーデン、スペイン、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド、フランス、ベルギー、香港
  • 2014年5月末までの20年間
  • 指数は配当込、円建て

この散布図で左下にポツンと存在しているのが日本株(リターン0.9%、リスク18.1%)です。
日本株は「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン」を目指しているのか、全体の傾向から随分外れたところにいます。

20年というと期間だとバブル崩壊後のスタートになっているのでリターンはプラスにこそなっていますが、年率換算で0.9%、100万円投資していても20年で120万円にしかなっていません。
こんなパフォーマンスでは、日本株を見た場合に限れば「株は危険で儲からない」「株は安く買って巧いタイミングで売らないと儲からない」と言われても仕方ないかもしれません。


しかし、日本株のリターンとリスクは他国のとはずいぶん異なった異端児です。
日本株の印象で他国の株式を含めた株式一般に拡大して話をしていいものかはよく考えた方がよさそうです。もちろん、印象のみならずデータを使った場合も同じことが言えます。


同様に海外の投資関連本を読む時も注意が必要です。
アメリカの本であれば自然とアメリカの株式市場に基づいて書かれているケースが多い。そこで語られている話が他でも利用可能であるかを考えながら読んだ方がよいでしょう。


※2014/6/21 20:20 データソースのわたしのインデックスの情報を追記







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