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となりの億万長者』は貯蓄を語る上でよく引き合いに出される本です。その中で、期待資産額蓄財優等生という指標が掲示されているが、これが恐ろしく厳しい。

●期待資産額=年齢×年収×0.1
 ・期待資産額の2倍の貯蓄 ⇒ 蓄財優等生
 ・期待資産額の半分以下の貯蓄 ⇒ 蓄財劣等生


25歳~65歳で年収5万ドル(≒500万円)以上ならかなりの精度で当てはまるという話ですが…かなり厳しい。

例えば、22歳に就職して年収300万円スタート、毎年6%ずつ昇給していくケースを考えます。
35歳では年収640万円になるので、期待資産額=35歳×640万円×0.1=2240万円になります。蓄財優等生の基準は4480万円です。
しかし、35歳時点の総収入は税引き前で6305万円にすぎず、ここから税金や社会保険料等を拠出し、日々の生活費も拠出した上で4480万円を築かないといけないという算段になります。

貯蓄の運用益を無視すると22歳~35歳の年平均支出は税/社会保障込みで130万円となりますので、よほどの倹約生活を行うか、うまい投資をしないと蓄財優等生にはなれそうにありません。


昇給率をもっと高く想定するとさらに大変になります。
昇給率を年10%とすると、35歳時点では8392万円の総収入で7250万円を作らないと貯蓄優等生になれません。手取り総額より多く貯蓄しないといけない。
昇給率が年15%ともなると、12151万円の総収入で12921万円の貯蓄ということで、税引き前の全収入を残しても貯蓄優等生には届きません。

この公式は現時点の年収のみで期待資産額が算出されるので、過去が低所得な場合は非常に達成が厳しくなります。一方、急激に所得が減少した場合には達成は容易になります。


なお、私の2013年までの数字を見ると、額面給与の総額を100とすると期待資産額は47、蓄財優等生は94であり、実際の貯蓄は期待資産額にも届いていませんでした。



このスタンリーの試算は以下のようなアメリカという環境下だからの数字とも言えそうです。

(1)投資のリターンが高い

米国の債券総合指数であるバークレイズ・キャピタル米国総合指数を見ても年5%強のリターンが見込めます。(参考:わたしのインデックス)

(2)賃金カーブの傾きが緩い

日本銀行の正社員の企業間移動と賃金カーブに関する事実と考察にあるように賃金カーブの傾きは日本と比較して緩やかになっています。(つまり、今の年収と過去の年収の差が小さい)



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