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毎月分配型投信の分配金で将来設計をしているブログなどをときどき見かけます。その場合、高い分配金を出す投資信託に投資していて、その受取分配金の金額を将来のインカムゲインとして想定していることが多い。

具体的な例の一つとしては「Aファンドに投資していて今の分配金は毎月5万円。将来的には投資額を増やしていって分配金を毎月30万円にしてリタイア…」のようなものです。


しかし、この皮算用はまずい。
分配金が多い投資信託は基準価額がどんどん下がるし、想定している分配金はもらえなくなります。



現在の毎月分配型投信で純資産総額トップはフィデリティ・USハイ・イールドFです。このファンドの基準価額と分配金の状況をグラフにしてみました。(データはモーニングスターから)

私も今回のグラフを作る際に知ったのですが、もともとはこのファンドは毎月分配金は出していなかったようで、しばらくは無分配期間が続き、その後も1年決算でした。
2005年3月22日に50円の分配金を出したのを皮切りに毎月分配金を出すようになっています。


投資信託の基準価額と分配金の関係を素人目に考えると以下のように思えます。
    • 基準価額が高い ⇒ 1万口当たりの分配金が多い
    • 基準価額が低い ⇒ 1万口当たりの分配金が少ない
基準価額1万円の時の毎月50円なら対基準価額比で月0.5%(年6%)ですが、基準価額1000円の時の毎月50円だと対基準価額比が月5%(年60%)になってしまい、あっという間に資金が枯渇してしまいます。

しかし、フィデリティ・USハイ・イールドFにはあてはまりません。
基準価額が1万円前後の頃には50円~65円といったところですが、基準価額が5000円前後をウロウロしている今が70円~85円と1万口当たりの分配金が多い。

つまり、"分配金利回り"なる数字で見ると今の方がはるかに高くなっています。
最近の数字で見ると、基準価額5400円に対して分配金が70円といったところです。年率換算すると分配金は840円であり、基準価額比でみると15.6%です。

単純に考えると、投資しているUSハイ・イールド債券のリターンが15.6%なければ基準価額が下がっていきます。

ハイ・イールド債券の期待利回りを考えるとこのように多くの分配金を吐き出す方針を続けるなら基準価額を維持するのは非常に困難でしょう。仮に為替が2007年並みのUSD/JPY=120円になったとしても、20%アップにしかならないので基準価額6500円がいいところです。

この方針が続く限りは基準価額はどんどん下がっていくでしょう。そして、最近でも95円→85円→70円と下がっていっているように基準価額が下がれば高い分配金を維持することもできなくなります。
「Aファンドに投資していて今の分配金は毎月5万円。将来的には投資額を増やしていって分配金を毎月30万円にしてリタイア…」という皮算用は破綻します。


●まとめ

    • 分配金利回りが期待リターンを大きく上回る投資信託の基準価額は中長期的には下がっていく
    • そして基準価額が下がれば高い分配金は維持できなくなる
    • 分配金がいくらかではなく、あくまでトータルリターン



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