東京証券取引所主催の「ETF・ETN市場に関する意見交換会」に参加してきました。
東証の方の他には、日興アセットマネジメント商品企画部ETFセンター長の今井幸英氏、野村證券グローバル・マーケッツ本部ETFマーケティング・グループ長の塩田誠氏、三菱UFJ投信営業企画推進部企画グループマネージャーの佐々木康平氏、などの方々も参加されていました。
そして、私以外のブロガーの参加者は以下の通り。
基本的には投資家側からの事前質問を軸に意見交換が行われました。
以下はまとまっていませんが、メモです。(体系だったメモは私と虫取り小僧さん以外のレポートをご覧ください)
- 全世界株式ETF(例: FTSE Global All Cap Index)の組成は可能か? ⇒ 可能。しかし、世界の市場をカバーするとNAVの計算が難しくそのあたりのハードルがある
- 日本を含んだ世界国債ETFの組成は可能か? ⇒ 可能だが、全世界株式ETF同様の問題に加え、債券はボラティリティが小さい点もハードルになる
- 国内債券ETFの組成は可能か? ⇒ 値動きが小さすぎるのがハードル。呼び値が1円単位では債券の値動きでうまく取引するのも難しい。
- アメリカで債券ETFが成立する要因としては、アメリカの債券の方が値動きが大きい。アメリカだと数十pip動きもするが、日本だと1週間で2pipのような値動きでETFにする魅力が少ない
- バランスファンド型のETFの組成は? ⇒ 可能。しかし組成するには対象となるインデックスが必要であり、それを作る必要がある。またバランスがたって需要があるのだろうか…
- ETFが連動を目指す指数は、ただ指数が存在すればいいものではない。指数が複製しやすいものでないとETFとして利用しづらい
- 日本ではETFのReputation Costが高く、簡単にETFを上場廃止できない(上場廃止に慣れていないせいか、投資家が上場廃止=資産価値が0になる/損をすると勘違いしていて、そういうクレームなどが来る)
- ETFを上場廃止しにくいために、簡単にETFを設定しにくくもなっている
- 海外ETFの東証重複上場については各種コストがかかり(資料作成コストなども含む)、そのコストをかけるだけのメリットがあると判断されないと難しいかも
- ETFの信託報酬引き下げには資金が集まることが重要
- ETFの信託報酬は投資信託同様に日々引かれている
- 同じ指数に連動するETFが複数あり個人投資家にとってはこれはあまりメリットにはなっていないが、金融機関などはオペレーション上の理由から銘柄分散をすることがあって複数の銘柄があることが希望されている
- DRIP(分配金の再投資サービス)は無いの? ⇒ 類似のもので株式累投(るいとう)がある。ただし、証券会社によって取り扱いがなかったり、ETFが対象外だったりする。野村證券ではETFも対象に入っている売買手数料が1%強かかる。
- むしろ機関投資家は分配金を再投資ではなく現金で受け取りたがる
- ETFとして複製が難しい指数でもETNなら組成は難しくない。(そもそもこれがETN普及の大きなドライバー)
- ETNは信託報酬が高かったり長期保有に適さないような商品が多いように見えるがETFで組成が難しい指数を取り扱いがちなのでその傾向も仕方ないかも
- 大口の投資家は国内債券は生債券を取り扱っていることが多く、信用リスクのあるETNには投資しづらい
- ETNの資産価値を担保する仕組みはない
- 有担保ETNを設定することは禁止しておらず設定可能。ただし担保の有無はETN上場の評価基準にならない
- ETN上場に関しては、企業の信用などで判断している (参考)
- 有担保ETNは設定可能だが、担保を用意するとコストがかかり、それは投資家の負担につながるので有担保ETNは設定されていない
- 投資家にもETNやシンセティック・レプリケーションETFといった現物の裏付けのない資産を過剰に嫌いすぎている傾向があるかもしれない
- ETNは配当込指数に連動することも容易であり分配金を出す必要がないので、配当⇒課税となるETFなどより巧く運用できるケースがある。NEXT NOTES STOXX アセアン好配当50ETNなどのように高い配当金を出すアセットで分配せずに運用できる
- ETF設定時には、資金を調達してETF構成銘柄を購入する。またそのポジションからくるリスクをヘッジするために同様のポジションを空売りする。この資金調達コストと空売り用の貸し株金利はコストであり、非常に重要
- マーケットメークでも資金を調達して行っており、その資金の調達金利も重要
- ETF設定時には2社以上の指定参加者がつくことが条件になっている
- 世界の各市場におけるETF上場については各国の税制/租税条約も重要になる
- 下手にアメリカ籍のETFを持ってくると米国の税金が最高額になってしまい、それよりも地元のETFを使た方がお得ということもある(アメリカ市場に投資するアメリカ籍ETFよりも、同様の香港籍ETFを利用した方が良い場合も…)
- 指定参加者は流動性を確保するという約束をすることになっているが、数値目標はない
- 海外で流動性提供のための数値目標を設けている市場があるが、その代わりに便宜を図っている (←アメリカで最近問題になっている件)
- ETFの世界でも裁定取引は活発であり、下手なことをやるとそこを狙われる。仮にマーケットメーク/裁定取引をコンピュータで自動化して下手をこいた場合には、ライバルから狙い打たれて掻っ攫われてしまうことも
※2014年5月25日8時45分: レバレッジ投資実践日記のレポートを追記しました
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