さて、NISA (少額投資非課税制度)も始まりました。これで投資を始めた人もいるようなので、Back to Basicsということで、分配金について書いておきます。
NISAでも依然として毎月分配型投信が人気のようです。分配金のことをわかって買っているならいいのですが、ちゃんと理解せずに買っていないか心配になります。
説明では無分配のファンドAと毎月分配のファンドBを使います。そして共に運用損益0かつ税金/手数料無しと仮定して、部分解約再投資と分配金再投資を比較します。
以下にステップバイステップで説明します。
共に「同じ基準価額」「同じ口数」=「同じ総資産」でスタートします。
上記が部分解約と分配金のイメージです。部分解約は基準価額は変わらないが口数が減り、分配金は口数は減らないが基準価額が下がります。
部分解約したお金や分配金を再投資するとこのようなイメージになります。
再投資が完了すると上図のようになります。
部分解約再投資は解約した口数分だけ買い付けるので元に戻ります。
分配金再投資は買い付けで口数が増えるので、分配前と比べて横長になります。(面積=総資産額は同じ)
部分解約再投資、分配金再投資を続けていくと上図のようになります。
部分解約再投資は解約した口数を買付するだけなので何度繰り返しても元に戻ります。
一方、分配金再投資は分配時に基準価額が下がり、買い付け時には口数が増えるので、繰り返していくと基準価額は下がって口数が増えていきます。(つまりこの図だと横長になる)
今回は分配金有ファンドのみの比較です。最初の分配金の時と、何度も分配金再投資して基準価額が下がって口数が増えた状態で、1万口当たり同じ金額の分配金が出るとした図です。
分配金再投資を繰り返した方は口数が増えているので多く分配金が出ます。
口数が増えたので分配金も増えました。では、部分解約再投資と比較すると…
部分解約は好きな金額だけ解約できるので、上図のように部分解約の金額=分配金の金額で解約できます。
さて、(2)〜(4)で最初の部分解約再投資と分配金再投資を比較しましたが、(7)では部分解約の金額も分配金再投資の金額も増えています。どうなるでしょう?
上図のようになります。
分配金再投資は基準価額がさらに下がって口数が増えました。部分解約再投資は元に戻るだけです。
そして面積=総資産額は同じです。つまり、資産の増減では全く同じです。
まとめると上図のような話です、分配金再投資を繰り返すと基準価額が下がって口数がどんどん増えます。その結果、1万口当たりの分配額が変更にならない限り貰える分配金は増えます。つまり、分配金再投資をするごとに受け取る分配金は増えます。
一方、部分解約でも部分解約の金額は自由に調整することができます。「毎月分配金再投資繰り返し⇒分配金アップ」と同じように毎回の部分解約額を増やしていけば、毎月分配金再投資と同じ金額を手元に受け取って、同じ金額だけ再投資することになります。
ようするに…
「分配金再投資は口数が増えるから分配金を受け取る権利が増えて有利」みたいな勘違いが時々ありますが、これは大きな勘違いです。
あくまで投資しているお金から払い戻される金額が増えるというだけで、資産の増減という話であれば上図のように当初の口数が少なくて受け取る分配金が少ない時と同じですし、当然に部分解約と同じです。
私が示してきた図で言えば、長方形の縦を削って横に伸ばしているだけで面積拡大という意味では貢献していません。
「資産の増減なんてどうでもいい。口数さえ増えればいいんだ」という奇特な人は別にして、資産の増減で考えるなら分配金=部分解約です。
そして、「分配金が多い=払い戻される金額が多いだけ≠有利」です。
※なお、上記の説明ではファンドの運用益0、税金や手数料も0で考えましたが、買付手数料や信託財産留保額がなければ実際の投資の世界でも同じことが言えます。
NISAでも依然として毎月分配型投信が人気のようです。分配金のことをわかって買っているならいいのですが、ちゃんと理解せずに買っていないか心配になります。
説明では無分配のファンドAと毎月分配のファンドBを使います。そして共に運用損益0かつ税金/手数料無しと仮定して、部分解約再投資と分配金再投資を比較します。
結論:分配金は部分解約と同じです
以下にステップバイステップで説明します。
(1)投資直後(分配前)
共に「同じ基準価額」「同じ口数」=「同じ総資産」でスタートします。
(2)最初の部分解約/分配金
上記が部分解約と分配金のイメージです。部分解約は基準価額は変わらないが口数が減り、分配金は口数は減らないが基準価額が下がります。
(3)部分解約/分配金再投資のイメージ
部分解約したお金や分配金を再投資するとこのようなイメージになります。
(4)再投資完了後
再投資が完了すると上図のようになります。
部分解約再投資は解約した口数分だけ買い付けるので元に戻ります。
分配金再投資は買い付けで口数が増えるので、分配前と比べて横長になります。(面積=総資産額は同じ)
(5)部分解約再投資、分配金再投資を続けていくと
部分解約再投資、分配金再投資を続けていくと上図のようになります。
部分解約再投資は解約した口数を買付するだけなので何度繰り返しても元に戻ります。
一方、分配金再投資は分配時に基準価額が下がり、買い付け時には口数が増えるので、繰り返していくと基準価額は下がって口数が増えていきます。(つまりこの図だと横長になる)
(6)分配金再投資の繰り返しで口数が増えたところで分配金が出ると
今回は分配金有ファンドのみの比較です。最初の分配金の時と、何度も分配金再投資して基準価額が下がって口数が増えた状態で、1万口当たり同じ金額の分配金が出るとした図です。
分配金再投資を繰り返した方は口数が増えているので多く分配金が出ます。
(7)じゃあ、部分解約再投資と比較すると
口数が増えたので分配金も増えました。では、部分解約再投資と比較すると…
部分解約は好きな金額だけ解約できるので、上図のように部分解約の金額=分配金の金額で解約できます。
(8)部分解約再投資と比較した結果
さて、(2)〜(4)で最初の部分解約再投資と分配金再投資を比較しましたが、(7)では部分解約の金額も分配金再投資の金額も増えています。どうなるでしょう?
上図のようになります。
分配金再投資は基準価額がさらに下がって口数が増えました。部分解約再投資は元に戻るだけです。
そして面積=総資産額は同じです。つまり、資産の増減では全く同じです。
(9)まとめ: 部分解約=分配金
まとめると上図のような話です、分配金再投資を繰り返すと基準価額が下がって口数がどんどん増えます。その結果、1万口当たりの分配額が変更にならない限り貰える分配金は増えます。つまり、分配金再投資をするごとに受け取る分配金は増えます。
一方、部分解約でも部分解約の金額は自由に調整することができます。「毎月分配金再投資繰り返し⇒分配金アップ」と同じように毎回の部分解約額を増やしていけば、毎月分配金再投資と同じ金額を手元に受け取って、同じ金額だけ再投資することになります。
ようするに…
分配金は部分解約と同じです
「分配金再投資は口数が増えるから分配金を受け取る権利が増えて有利」みたいな勘違いが時々ありますが、これは大きな勘違いです。
あくまで投資しているお金から払い戻される金額が増えるというだけで、資産の増減という話であれば上図のように当初の口数が少なくて受け取る分配金が少ない時と同じですし、当然に部分解約と同じです。
私が示してきた図で言えば、長方形の縦を削って横に伸ばしているだけで面積拡大という意味では貢献していません。
「資産の増減なんてどうでもいい。口数さえ増えればいいんだ」という奇特な人は別にして、資産の増減で考えるなら分配金=部分解約です。
そして、「分配金が多い=払い戻される金額が多いだけ≠有利」です。
※なお、上記の説明ではファンドの運用益0、税金や手数料も0で考えましたが、買付手数料や信託財産留保額がなければ実際の投資の世界でも同じことが言えます。
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私はひとつにはファンドの規模を抑えるというメリットがあるのかなと思うのですが。