「ある国の経済成長率/GDP成長率と株価変動には相関がある。だから、GDPが伸びる国の株式に投資するとリターンが高くなる。(低成長の日本に投資しても儲からない)」というような説があります。

しかし、個人的な見解ではありますが、今後の投資方針を考える時にはあまり気にしなくていいと思います。
◆気にしなくていい理由その1:実質リターンで見ると???
まず一つは、相関はあったとしても「投資判断に影響を与えるほどではないんじゃないか」いうこと。
gdp_kabuka
上記は海外投資データバンクのグラフです。
これはそれなりに相関はあります。試しに相関係数を計算すると0.7318でした。これがそのまま投資家のリターンになれば、「成長の高い国の株式に投資が有力」といっても面白いかもしれません。

しかし。そう単純にはいきません。インフレ率/為替です。
高インフレの国の通貨は長期的には下落するという購買力平価説があります。株式の本質的価値に変化がなくてもそれを表現する通貨の価値が半分になれば株価は倍になります。

これを踏まえて上のグラフを見ると、ブラジルやインドなどは高インフレ国です。

名目GDPが高ければ株価成長率が高いといっても為替(インフレ)で帳消しであれば、高金利通貨が為替で帳消しと同じで、投資先として資産の多くを振り向けるべきとはなりません。


◆気にしなくていい理由その2:国の経済指標と株式指数の関連は薄れそう
また、今後はある国の経済指標とその国の企業の成長の関係は薄れていく可能性が高いようにも思えます。
日本でもそうですがボーダレス化が進んでいます。日本企業でも海外で稼ぐ企業が増えています。
日本が少子化で人口が減って…といいますが、日本を代表するトヨタは国外での販売を伸ばしており、もはや主軸は海外に移りつつあります。2003年3月期→2013年3月期の販売台数推移は次の通り。
【国内】2,323千台→2,279千台
【海外】3.204千台→6,592千台

日本人が減ったり日本のGDPが下がろうと、日本株であるトヨタの売上や利益は伸びていくかもしれません。
輸出が困難なサービス業でも海外での事業展開が進んでいます。ファミリーマートや大戸屋の海外進出は有名ですし、クロネコヤマトのヤマト運輸も海外進出を始めています。

こうなってくると、日本企業の株式インデックスと日本国内の経済指標の関連性はなお一層薄れてくるのではないでしょうか。


【参考】
世界各国のGDP成長率と株価リターンの相関 (海外投資データバンク)
ある国の成長率と株式のリターンに相関はない? (梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)


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