住宅ローンについて私の考え方に近い記事がありましたのでご紹介。

住宅ローン、「繰り上げ返済」病にご注意 (日経新聞)

この記事の筆者である淡河範明氏は、必ずしも繰り上げ返済は正しいわけではなく家計の安定性を阻害しないならば繰り上げ返済という主張をしています。

そして、家計の安定のために必要なお金を以下と規定しています。
住宅購入後であれば、手元に残すお金は次の2つとなります。
(1)万が一のためのお金:サラリーマンであればおよそ生活費の6カ月分くらい
(2)将来の支出への備え:教育費、老後資金、介護費用、車の購入費用等。生活費ではなく、月々の収入では負担できないような高額の支払いに充てるための資金を試算しておく
 上記2つの備えが十分であれば、家計が将来にわたって安定的に推移するでしょうが、そうでなければ、リスクに弱い家計となります。
 教育費の準備は、家計にとってたやすいことではないのです。住宅ローンアドバイザーとしての個人的な経験からいいますと、子供がいる世帯で、住宅ローン控除や児童手当を繰り上げ返済に回した上で大学費用を十分に準備できるという家計は、3割以下という印象です。

 資金不足の場合は、奨学金、教育ローン、両親から資金援助などを使う方法があります。ただ、あらかじめわかっているのであれば、将来そのような検討をせざるを得ない状況を避けるのが賢明な判断であり、その備えをすることこそ、資金計画であるはずです。

 つまり、「家計の不足資金への備え」を「借入金の利息負担の軽減」よりも優先させるべき家計が多いのです。

住宅ローンを持ちながら貯蓄をしても、住宅ローンをどんどん繰り上げ返済しても、「貯蓄-借金」である純金融資産はほぼ同じです。
しかし、前者は手元資金が厚く、後者は手元資金が薄いという違いがあります。

先の引用部分にもあるように、普通に生活していてもある程度のまとまったお金が必要になるケースがあります。
その場合に手元資金が足りなくなって借金というのは非常にもったいない。
住宅ローンは非常に金利が低い借金ですが、他の借金となると金利がえげつないものが多い(住宅ローン控除を考慮すると実質マイナス金利のケースもあり)。年利1%未満の住宅ローンを繰り上げ返済したがために、年利数%の借金をすることになるのはバカバカしい。

淡河氏の経験からくる家計の安全性を確保できている家計は3割以下という数字の正しさは分かりませんが、安全性を確保できていない家計はそれなりに多そうです。

低金利である現在の住宅ローン事情を考えると、繰り上げ返済は無理する必要はなく家計の安全性を確保してからで構わないでしょう。


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