※ポイント:1000万円以上の金融資産のポートフォリオにおける不動産投資とワイン投資の位置づけ


Episode1 2011年

マネックス証券のサイトにて2011年1月から2011年6月にかけて全6回のマネックス・ユニバーシティ代表取締役内藤忍によるポートフォリオ診断」という連載が掲載されています。
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このポートフォリオ診断は2011年1月から2011年6月に連載したものです。(※)役職は、連載当時の役職を掲載しています。

マネックス・ユニバーシティの内藤忍がみなさまのポートフォリオにアドバイスいたします。資産運用を行っていく上での疑問も解決。これからの資産運用にご活用ください。
上記のような趣旨を持って掲載された連載で、対象となる相談者の属性は下記の通り
 ●第1回: 30代男性 / 金融資産1000万~3000万円程度
 ●第2回: 40代男性 / 金融資産1000万~3000万円程度
 ●第3回: 60代男性 / 金融資産5000万~1億円程度
 ●第4回: 40代男性 / 金融資産3000万~5000万円程度
 ●第5回: 30代男性 / 金融資産100万~500万円程度
 ●第6回: 60代男性 / 金融資産5000万~1億円程度


ここには1000万円以上のケースも多数あります。というか全6回中5回が1000万円以上です。ところが不動産への積極投資の言及はほとんどありません。

例えば、第4回の金融資産3000万~5000万円程度の方へのアドバイスで以下のようなものがあります。(第4回の相談)
<内藤忍からのアドバイス>

相談者ご本人も認識されているように、やはり日本株の比率が高すぎるようです。資産全体の半分以上が日本株というのは、分散投資の観点からはリスクが偏っています。

また、REITも内外合わせると資産全体の3分の1以上になっているのも比率としては高いと言えます。不動産は安定的なインカムゲインを狙った投資と思われますが、価格の変動も大きく、株式との連動性があるので、同じ方向に資産価格が動く傾向が強まってしまいます。
金融資産3000万円~5000万円のポートフォリオで国内外REIT合計で3分の1以上は比率が高すぎると言っています。

第3回の運用資金5000万~1億円(その他に預貯金が数千万円)と言う人も投資資金の98%は株式と債券のポートフォリオでしたが内藤氏は一切不動産投資を推奨していません。(第3回の相談)



Episode2 2013年

時は流れて2013年、内藤忍氏は『貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい』を出版しました。この中では3000万円/5000万円/1億円では「1000万円をペーパーアセットでそれ以外は海外不動産(とワイン)へ投資」というポートフォリオを示しています。

1億円の場合はほとんどが海外不動産で、わずかにサテライトとしてワイン投資と株式や債券です。そのサテライト中でも株式も債券はワインより比率が下です。


これほどまでに海外不動産を積極推奨しているにもかかわらず、2011年は3000万~5000万円のポートフォリオで内外合わせて3分の1以上のREITは比率が多すぎとアドバイスしていましたし、5000万~1億円でも不動産へ投資せよというアドバイスはほとんどなく、特に海外不動産現物に関しては皆無でした。


2011年と2013年の2年間で随分と話している内容に違いがあります。

マネックスユニバーシティ退職があり、2011年と2013年では内藤氏個人の立場が違うことは分かります。
しかし、それと投資セオリーは別物です。内藤氏個人の環境が変わると同じタイミングで投資のセオリーが全く変わってしまったということはないでしょう。

マネックス・ユニバーシティ時代はマネックスが取り扱っている投資信託を推奨(別に株でも不動産でも投資信託なら変わらない)し、マネックスを辞めたら自分がコンビを組む不動産やワイン投資を推奨するというのでは、ずいぶんなポジショントークではないでしょうか。


内藤忍氏個人は嫌いではありません。投資に対する意見が変わることもありです。新しい知識を身につけたらよりいい投資方法が見つかった場合とかに考えを改めることはあるでしょう。
しかし、少し前までまでさんざん話していた内容と全く違う主張であるのに、過去の主張を否定せずに投資アドバイスの変節することについては私は全く賛同できません。

他のアドバイザーなどでも言えることですが、投資アドバイスを聞く(聞いてしまう人)は、このような「過去のアドバイスと今のアドバイスは違い」及び「そのアドバイスをする時のポジションがどうであったか」をしっかりと知ってほしい。


※参考リンク:【読書メモ】貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい 内藤忍 (レバレッジ投資実践日記)


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