先の「やはりよく分からないデフレが治れば何でもできる論」の後篇です。

前回はインフレ率のみを載せましたが、その時に景気がどうなっているかを比較してみたいと思います。比較する指標として庶民の景気の目安になりそうな失業率を並べてみます。(GDPを使うと、GDPが増えても雇用が増えないとか給与が増えない…で意味が無いという反論も出る)

下の背景黄色部分がインフレ率と失業率の相関係数です。同年と書いたのはその年のインフレ率と失業率の相関係数です。
※インフレ率と失業率の相関なので、相関係数が高いとインフレ率が上がると失業率が上がる関係
Inflation_employee

これを見る限り、インフレ率と失業率の間の相関は-0.66〜0.63となっておりバラバラです。少なくとも同時期のインフレ率と失業率の間には明確な関係は読み取れません。

因果関係があっても効果が出るのに時間がかかることもあります。
時間差を考慮して「ある年のインフレ率が1年後の失業率に影響を与える」のではないかと考えた場合の相関係数も計算してみました。それが、「1年後」です。
データが10年分での分析ですので、1年後にずらすと「2011年のインフレ率→2012年の失業率」が最後となってN数が9になっています。これを見てもインフレ率と失業率に明確な傾向はなさそうです。

上のようにマイルドなインフレを実現していながらも高い失業率と財政問題を抱える国を見ると、デフレを克服してマイルドなインフレになれば一気に全てが解決するかのような話には大いに問題があるように思えます。


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