先日の「重要だが、なかなか実行しないリバランス」というエントリーで、投信ブロガーたちも案外「比率の上がったアセットを売却、比率の下がったアセットを購入」というリバランスをやっていないものだということを書きました。


今回はプロの運用として、ある投資信託でアセットアロケーションをどうやって維持しているかを見たいと思います。
参考として選んだのがセゾン・バンガード・グローバルバランスファンド (セゾン・バンガードGBF)

このファンドを参考として選んだ理由は以下の4つです。
 1. 継続的な資金流入超過で資産形成期の積立個人投資家に似ている
 2. 株式:債券=50:50というシンプルな比率
 3. ファンドオブファンズなので、銘柄選択やタイミング投資、インデックス追従のための売買が無い
 4. 数年間はトラッキングレコードがある
 5. 私がよく知っている  (←「オイ、5つ目だよ」とツッコむところ)

セゾン・バンガードGBFは年に1度の決算で第1期〜第5期の運用報告書があります。この運用報告書から「毎月の株式/債券の投資比率」及び「期中の売買及び取引の状況」データを見てみます。

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運用初期は株式・債券組入比率が高くなく、共に50%を大きく下回っています。これは新規設定ファンドにありがちな傾向です。
その後、組入比率を上げて2008年には、株式:債券≒50:50でほぼルインベストになっていますが、2008年10月に比率が大きく崩れています。これは10月にあった大きな株式市場の下落が原因です。これによって株式の比率が下がりました。
そんなこともありながらも、だいたい株式:債券=50:50の比率になっています。(現金比率が1%程度なので、ファンド全体に対する組入比率は株式・債券共に49.5%前後が水準)


では、セゾン・バンガードGBFはどうやって50:50の比率を守っているのでしょうか?

それは「期中の売買及び取引の状況」を見るとわかります。
「期中の売買及び取引の状況」には何をいくら買ったか?何をいくら売ったかが書いてあります。
5期分の運用報告書を見てみると、セゾン・バンガードGBF一切、組入ファンドを売却していません
つまり、2007年3月の設定から2011年11月までの運用期間で、セゾン・バンガードGBF「比率が高くなったアセットを売って、比率の低くなったアセットを購入」というリバランスを一切行っていません
2008年10月に株式アセットの比率が下がった時ですら売却リバランスをしていません。

理由としては、売却/購入リバランスにはコストがかかることがあるでしょう。少々の乖離のたびに売却/購入をしていてはリバランスコストが無視できない金額になります。
あくまで一ファンドの運用ですが、ファンドマネージャが運用する投資信託のリバランス状況はこんな感じです。


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