Twitterでフォローしている嘉悦大学の高橋洋一氏(@YoichiTakahashi)のつぶやきです。

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「1%を3年間払っても3%で、それで100%を保証できるから3年以内の破綻は誤り」とのことです。
少し数字をいじって「1%を5年間払っても5%で、それで100%を保証できるから5年以内の破綻は誤り」「1%を10年間払っても10%で、それで100%を保証できるから10年以内の破綻は誤り」…でしょうか。

この理屈ってありですか?

2009年8月のギリシャのCDSも1%です。
高橋洋一氏の理屈だと、3%の支払いで100%をカバーできるのはおかしいのでギリシャは3年以内(2012年8月まで)に破綻はしないそうです。
同様に、「2009年8月から5年以内のデフォルトも5%の支払いで債務が無くなって財政再建完了はおかしいから、ギリシャが5年以内(2014年8月まで)にデフォルトする説は誤り」だそうです。



この理論はかなり応用が利きます。

例えば日経平均連動リンク債。
背理法。もし、日経平均が1年以内に30%下落するとする。1年以内に30%下落でノックインの日経平均連動リンク債の利回り(オプションのプレミアム)は3%なので、債券価格100万円で、オプション代金は3万円。これで30%下落するなら、今3万円はらって30万の下落をカバーできるので27万円もお得。これはおかしい。ということは1年以内の30%下落が誤り。終。
これは面白い。リンク債販売の営業トークで使いますか。


例えば生命保険。(ライフネット生命で見積もりましたが、1972年1月1日生まれの男性が死亡時の保険金額2000万円で20年の定期保険に加入すると月額7390円です)
背理法。もし、この男性が3年以内に死ぬとする。月々の保険料は7390円なので死亡時の保険金が2000万円で、支払保険料は年間88,680円。3年払っても266,040円の保険料の支払いです。これで死亡するなら生命保険会社は266,040円の保険料受け取りで2000万円の保険金支払い。これはおかしい。ということはこの男性が3年以内に死ぬことは誤り。終。
これはどう使いましょう。


CDSも生命保険も確率論の話で、CDSが0%でない限りは破綻は起こり得えます。破綻=0と極めて単純化した場合、1%の保険料がかかるなら破綻確率が1%あるということです。仮に破綻時に1/2は戻ってくることが平均的に期待されるならなら保険料1%の時に破綻確率は2%です。

保険料が1%より2%の方が破綻しやすい、2%より3%の方が破綻しやすい…という連続的な程度の話であって、「3年以内に破綻する」「3年以内に破綻しない」の二元論で語ることは極めて稚拙。


※議論を単純化するために割引率とかは無視しています


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