民主党の前原氏が消費税への軽減税率も考えるという話をしました。
しかし、私は以前から主張しているように軽減税率(複数税率)には反対です。
 ・『消費税の逆進性と複数税率化』
 ・『消費税の逆進性対策を考える』

日本経済研究センターの「大竹文雄の経済脳を鍛える」で消費税についてよくまとまった記事がありました。
 ・5月17日 消費税の逆進性を考える


まず、社会保険料(特に年金)を例に出して、徴収のみで語ることがおかしく、給付まで含めて考えなくてはいけないとしています。
基本的に定率で課されている上、社会保険料には負担の上限もある。そのため、所得に対する社会保険料の支払額は逆進的になる。
 社会保険料の逆進性があまり批判されないのは、給付と対応していることがあるだろう。年金であれば、負担は比例的でも、給付は基礎年金という固定的な部分と報酬比例という比例的な部分で構成されている。基礎年金部分が固定的ということは、生涯所得が低かった人は、支払額以上に給付をもらうことになる。逆に、高所得であっても人は、社会保険料の支払額以下しか給付を受け取ることができない。そういう意味では、公的年金制度は、給付まで考えれば累進的だ。


給付と合わせることで消費税を逆進的ではなく年金同様に累進的にできるという提言をしています。
 以上の議論に納得する人は、消費税の逆進性を、課税されるタイミングだけで捉えることの間違いに納得するはずだ。仮に、低所得者が、食費に関して支払う消費税相当額を年間3万円として、国民全員に定額で3万円を給付することを考える。実際に金券で3万円渡すこともひとつの方法だが、低所得者でも支払っている社会保険料をその分減免しても同じである。そうすると、消費税負担額から定額給付金を差し引いた額が、純消費税負担額になる。これなら、消費税の逆進性はなくなって、消費税も累進的にできる。



そして、軽減税率は逆進性を緩和する効果が弱いという点を示しています。
しかし、経済学者の間では、食料品などへの軽減税率の導入は、それほど再分配効果をもたないことが知られている。それは、高所得者も低所得者と同様に食料品を購入するからだ。高所得者の食料品の所得や消費に占める支出割合が、低所得者に比べて小さいとしても、食料品支出額そのものは低所得者より多い。
食料品への軽減税率は、低所得者へ優しい以上に高所得者にも優しい税制になる。書籍や新聞への軽減税率であれば、さらにその傾向は強くなる。もし、全員への定額給付を高額所得者へのばらまきであると言うのであれば、軽減税率も高額所得者へのばらまきなのである。



加えて、行動を歪めるというインセンティブまで働かせてしまうという指摘もしています。
軽減税率は、逆進性の緩和に役立たないだけではなく、人々の行動に歪みを与えてしまうという意味で「非効率的」である。食料品への支出は価格に対して非弾力的であると考えられているが、もし食料品の価格が他の財の価格よりも安いのであれば、人々はより高い食料品を購入する可能性があるし、食料品以外の財の購入から高級な食料品へ支出を変更する可能性があるのだ。



短くポイントがまとまってて良い記事だと思いましたので紹介させていただきました。(税率を下げる品目をどう決めるかという問題を加えるとかなりいい感じ)


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