「資産運用=ギャンブル=悪」というイメージは依然として根強いようです。

ホテルでテレビをつけてNHKを流していたら、AIJ投資顧問問題に絡んで企業年金/公的年金の話をしていました(おはよう日本?)。特にAIJ絡みなので、資金運用が中心テーマでした。
出演者には、松本明子氏や山田五郎氏といった人が出ており、経済評論家としては荻原博子氏もいました。
※追記:番組はNHK World Premiumの「週刊ニュース深読み」でした。(CAPM信者さん情報)

その中での公的年金の運用に関しての話が酷かった。
公的年金の運用を担当しているのが"年金積立金管理運用独立行政法人"という長い名前の組織だというだけで「うさん臭い」と言い、運用会社に委託しているといえば「(AIJのような奴が)また出てきた」と野次られる始末です。

そして、話の進め方も極悪でした。

・GPIFによる自主運用を始めてから積立金が150兆円から110兆円に減っている
・年金問題に詳しい鈴木亘氏の「今の年金積立金はこのままだと15年後には枯渇する」という見立て

上のような話を出していました。このような話を聞いて、山田五郎は「もう運用なんてしなくていいから返して欲しい。ギャンブルは自分の金でやってくれ」と何度も喚き散らしていました。他の人も特別にそれをとがめるでもなく、荻原博子氏は「昨年は3兆円程度の運用損」などと補足です。
一応は解説で出演していた専門家(誰が出ていたかは忘れました)が申し訳程度に「運用で減っただけではないんですが…」と付け足すのみで、番組全体としては「資金運用=ギャンブル=悪」という印象の番組構成でした。

見当違いもいいところです。
ロイターの記事にあるように、GPIFが運用を始めてから約20兆円も増えています。

年金積立金減少の大きな理由は運用損ではなく、流入金額+運用益に対して支払額が大きすぎることです。

山田五郎氏が言う「もう運用なんてしなくていい」を実現すると、もっと早く公的年金は枯渇します。
資金運用は正義ではありませんが、「資金運用=ギャンブル=悪」とことさらに大きな声で喚くのはやめてほしいですね。


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