以前のエントリーでも書きましたが、「時間分散しよう。まとまった資金を一度に入れずに分割して投入した方がよい」には異議があります。
今回は2つのケースを比較してみます。

≪ケース1≫
・35歳男性、65歳まで30年長期運用の予定
・投資に回せる金融資産として預金で1000万円持っている

さて、この人が世界の株式や債券に長期分散投資をする場合、一度に1000万円を投資するよりも時間分散をした方がよいのでしょうか?


≪ケース2≫
・35歳男性、65歳まで30年長期運用の予定
・投資に回せる金融資産として国際分散投資の投資信託で1000万円持っている

さて、この人が世界の株式や債券に長期分散投資をする場合、時間分散をした方がよいのでしょうか?

ケース1との違いは、持っている投資用資金が預金か投資信託かの違いだけです。他は年齢も投資期間も金額も投資スタイルも全く同じです。(他の属性も差がないとします)
1000万円を時間分散投資するためには、一度現金化して少しずつ投資していくことになります。



ケース1とケース2で答えは一致したでしょうか?
ケース1とケース2はリスク管理という意味では同じことを聞いています。ある時点で資産価値が1000万円であれば、それが預金であれ投資信託であれ同じものです。その後のマネー行動が同じであれば、最適とされる解も同じになるはずです。


「まとまったお金は時間分散すべき説」は、ケース2のようなまとまったお金を投資済みの人に、一度解約して分散投資しろと言っているのと同じです。
ケース1で一括投資して高値掴みになることが危険ならば、ケース2も1000万円が高値リスクにさらされている点では同じですから、リスク管理の視点からはアドバイスが同じにならなくてはおかしいはずです。

合理性という観点で見た時に、時間分散に意味が無い行為です。


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