金融庁、「通貨選択型」投信の販売規制を強化(ロイター)
金融庁は、金融機関が「通貨選択型」投資信託を販売する際の規制を強化する。関係筋が5日、明らかにした。投資家が商品のリスクを理解しているかどうか書面での確認を金融機関に求める。監督方針に沿った措置で、年内にも監督指針の改正案を取りまとめる。

金融機関が販売する際、運用する債権などの価格変動だけでなく為替変動のリスクについても投資家が理解しているかを書面で確認させる。


金融庁が通貨選択型投信販売の規制強化に乗り出しました。
具体的には金融庁の「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)の公表についてにある『「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)(新旧対照表)』に書かれています。

これを見ても、根本の欠陥を直さないとあまり意味は無いという印象。

・顧客カードに基づいて販売せよ
・通貨選択型ファンドの商品・リスク特性を理解したという確認書を取れ
・相場が大きく変動したら情報提供したり、レポートを出したりしろ
・元本の安全性を重視する顧客に通貨選択型を売る時は、管理職の承認など慎重に販売管理しろ


通貨選択型について要約するとこんなところです。(他にも「分配金は元本の払戻しになることもあると説明せよ」とももある。こんなことを分かっておらずアタフタする顧客が多いということでしょうが・・・)

あまり実効性があるとは思えません。
「管理職の承認など慎重な販売管理をしろ」と言っていますが、そもそも元本を重視する顧客に対して巷にあふれている通貨選択型を売ること自体が疑問です。(円への為替ヘッジならいざ知らず)
本来なら顧客がリスクを取ってもかまわないと宗旨替えをしてから売るべきものでしょう。元本の安全性を重視する人には上司が承認しても売ってはダメですよ。


また、顧客カードに従って・・・・という指針はむなしく響きます。
日本証券業界が定めている顧客カードの項目は以下の通りです。

【項目】
1 氏名又は名称
2 住所又は所在地及び連絡先
3 生年月日(顧客が自然人の場合に限る。次号において同じ。)
4 職業
5 投資目的
6 資産の状況
7 投資経験の有無
8 取引の種類
9 顧客となった動機
10 その他各協会員において必要と認める事項

サンプルのフォーマットは協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則の21ページ目にありますが、ほとんど価値は無さそうです。
このようなカードに従ったところで通貨選択型が適切かはほとんどわからないでしょう。

「確認書を取れ」はただのアリバイ作りです。

情報提供やレポート発行は「一時的に外的要因で混乱しましたが、ファンダメンタルは依然として良好で長期時な見通しは変わりません。」のようなポジショントークが繰り広げられるだけでしょう。もしくは"より良い商品"への乗り換えを勧めるか。


そんなことよりも、「高金利通貨が必ずしも有利とは限りません。高金利通貨はその分だけ通貨安になりやすいという購買力/金利平価説という有力な説もあります。」のような情報提供をせよと言った方が効果的だと思います。そのようなことがわかった上でもレアルが有利と思えばレアルの通貨選択型を買えばいい。
うん、実現すれば効果はありそうですが、実現することは難しそうです。


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