前回のエントリーで、簡単なモデルのシミュレーションに基づいて以下のような考察をしました。

・インデックス投資は必ずしも市場平均にはならない
・アクティブ投資の平均は市場平均ではない


そして、「純粋な時価総額インデックスの場合は市場平均に追従できそう・・・」というところで終わりました。

それでは時価総額インデックスへ投資することで、市場の成長と連動する結果を残すことが可能なのでしょうか?

結論から言うと、「時価総額インデックスへの投資は困難」となりそうです。

日本を代表する株価指数であるTOPIXは時価総額型の株価指数ですが、浮動株基準株価指数です。浮動株基準株価指数は浮動株を基準にしてウェイトを決めるので、浮動株が少ないと時価総額比よりも過小評価されることになります。

少し具体例を見てみます。時価総額及び浮動株調整後の時価総額を、トヨタ自動車とNTTドコモで比較してみます。(12/1にYahooファイナンス及び野村のサイトで取ったデータです)
●時価総額
 ・トヨタ:8,888,938百万円 (2011/12/1)
 ・ドコモ:6,014,970百万円 (2011/12/1)
●1306(TOPIX連動ETF)の組入比率
 ・トヨタ: 21,880万円 (2011/11/30)
 ・ドコモ: 7,270百万円 (2011/11/30)

時価総額では1.5倍弱の違いですが、浮動株調整後では3倍近い違いです。
TOPIX連動のインデックスファンドやETFに投資をしても必ずしも時価総額に連動するとは限らないのです。

また、世界の主要な国の株価指数も浮動株基準株価指数になっています。
日本の個人投資家が国際分散投資で使用しているMSCIのインデックスも浮動株基準株価指数です。

世界の時価総額企業ランキングで見ると、中国の企業が上位のぞろぞろ顔を出します。しかし、MSCIのAll Country Indexなどでの中国の比率は低い。これは、中国企業の株は固定株が多いので浮動株だけで考えると世界的に比率が低くなっています。一方、浮動株が多いアメリカは時価総額よりも大きな割合になっています。


理屈の上では時価総額比率のポートフォリオを構築することは可能でしょう。
しかし、各国株価指数もMSCIもFTSEも浮動株ベースとなっている現状で、個人投資家が時価総額比率の国際分散ポートフォリオを構築することは極めて難しいと思われます。自分で時価総額通りの比率でポートフォリオを作ることは現実的ではありません。

株価単純平均型インデックスは必ずしも市場平均ではありませんが、TOPIXやMSCI連動のパッシブ運用も市場の成長分に完全連動とはいかないようです。


(次でまとまるだろうか)


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