投資信託への痛烈な批判も多いですが、そのほとんどは洗濯機にテレビ機能を求めるような過剰な期待からきています。

良くある批判のひとつとして「アクティブファンドがベンチマークに勝ってもマイナスなら意味がない。それで運用が巧いなんて言われても投資家は儲からない。投資家が欲しいのはリターンだ」というアクティブファンドの対ベンチマーク運用へのものがあります。

しかし、多くのアクティブファンドの目論見書にベンチマークを上回ることを目指すと書いてあり、それを買ったのであれば筋違いです。普通、洗濯機を買ってテレビが映らないと文句は言わないでしょう。家電というくくりで文句を言っても駄目です。

絶対的な利益を求める人は買うべき商品が違うのです。MMFや絶対的収益追求型の投資信託を買うべきです。そのようなファンドにおいてマイナスになった場合には大いに「この下手くそ!」と言ってやりましょう。

また、インデックスを上回っても絶対的リターンがマイナスなら儲からないというのも少し違います。
(少し条件が付きますが) アクティブファンドがベンチマークを確実に超過できるならアクティブファンドのリターンがマイナスでも利益を出せます。
仮にベンチマークが-30%時にアクティブファンドが-15%なら、ETFなどを使ってベンチマークをショートするお手製ロング・ショートで利益を得られます(ただし、「少し条件が付く」と書いたようにベンチマークのショートが可能な場合)。

このように「アクティブファンドがいくら相対的にインデックスを上回っても意味はない」という主張は少し違います。インデックスを上回ることを目標としているファンドはそれが役割です。
そして、相対的にインデックスを上回れれば絶対的利益を得られます。インデックスを上回れるアクティブファンドがあれば、ものすごく貴重なファンドなのです。(もちろんコスト調整後で利益が消えてしまう程度では意味がありませんが)

投資信託は自分が良いと思った運用方針に資産を投じることです。「お金を増やしてください」ということはありません。
「米国REITが狙い目だ」と思った人が、米国REITを買ってくれる人に運用を代行しているだけです。そして円高になったり米国REIT市場環境が悪化すれば自分の判断が悪かっただけです。

チョクハン投信で、「日本株の厳選投資」に共感して鎌倉投信の結い2101に資金を投じる人もいます。これがある意味正しいスタンスです。「こういう風に銘柄を選びたい」のように自分がやりたいことを代行してもらうのが投資信託の位置づけでしょう。

投資信託は投資スキームにすぎません。儲かるかどうかは、投資をしないという選択肢を含めた自分の投資判断です。託して設けて貰おうとするものではありません。儲かるかどうかはどのアセットに資産を投じるか、タイミングをどうするかなど自分の投資手法が決めます。

投資信託の主なメリットは以下の3点です。
 ・運用作業の代行
 ・自分では直接アクセスできない商品を買える
 ・少額で多くの銘柄を買える

投資信託に過剰な期待をしないようにしましょう。


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