機会をいただきましたので、セゾン投信に伺ってインタビューをさせていただきました。


当日はポートフォリオマネージャの瀬下氏と営業部の工富(くとみ)氏に話を伺うことができました。事前に質問を送らせていただき、インタビューはそれをベースに進めさせていただきました。

以下にインタビューの中でポイントとなった部分を書かせていただきます。

●セゾン投信の強み・セールスポイントは?
投資信託を適正なコストで提供することが目的。積立利用率が60%を上回っていることは強み。

●セゾン投信の2ファンドを使ってどう長期投資して欲しいか?
・30年以上のような長期投資においては資産形成の達人ファンド(以後、達人)を軸に考えていただきたい。債券によるリスク低減を考えるならばグローバルバランスファンド(以後、GBF)をここに加えるイメージ
・20年程度の投資であれば、GBFを軸にしつつ、達人を加えるイメージ
・10年程度であれば、GBF1本でも良い。
達人はアクティブだが、積極的にリスクを取ってベンチマークを上回ろうとするものでは無い。リスクを抑えてしっかりと運用していこうというスタンスであり、長期投資にふさわしいものと考えている。なお、リスクを抑えるスタイルのために最近の相場低迷時期では(他ファンドに比べて)パフォーマンスが良くなっている。

●株式・債券以外への投資の可能性は?
株式・債券以外も投資対象になりえるが、今のところはREITも市場規模が株式や債券と比べても桁違いに小さく、投資対象に組み入れるのは難しい。

GBFの株式50%、債券50%という比率と長期投資
若い世代の長期投資とするには多少保守的過ぎるかもしれない。本当はそのような長期投資の人に検討して欲しいのが前述のとおり達人

GBF達人の純資産総額の違いの原因は?
コストの違いもある。また、達人が設立当初に理念を体現するだけの品質を提供できていなかったことや、実績が無いところでアピールしにくかったということもある。それによって達人が出遅れて、GBFが前面に出てきてしまった。

●購入時の積立だけでなく、解約時の自動解約サービスは?
考えてはいるが、手作業で行うには作業ミスの危険があり、システム変更等が必要。しかし、システム変更にはコストがかかるので、簡単にはここに投資できない。いずれは検討したい。
[(吊られた男)私も企業内情報システム担当なので分かりますが、設立から今までが赤字である中で、システムへの追加投資は難しいでしょうね]

●セゾン投信がやっていないことで、他社で素晴らしいと思うものは?
(1) バンガードのファンド保有者=バンガードの株主という仕組み。日本では制度などから難しいが、このしがらみのない制度は素晴らしい。
(2) プライムキャップ(バンガードのオポチュニティシリーズを運用)の運用方針。素晴らしい運用は個人から生まれるという発想で、会議を行わない。各投資担当者が独自の考えで投資を行う。そして良いパフォーマンスを残している。
(3) コムジェストのベンチマークにこだわらない運用スタイル

●世間の評判などで、ここが違って広まっているなどと思う点・・・
達人については先の通り
達人以外ではインターネットなどでも良く言っていただき嬉しい限り
・少し話は変わりますが、積み立てのメリットは安い時にも買い続けることにあるのに、相場が良い時に資金流入が増えて相場が悪い時に資金流入が鈍る点は残念
・社長が実際の年齢と比較して若いと言われることがある(笑)
・バンガードのファンドがアイルランド籍のため、アイルランド危機でファンドは大丈夫かという(勘違いの)問い合わせがある

●その他
・資産運用会社としての知名度はなく当初は不安視されることもあったが、運用実績を積んできた今はそのような不利は感じなくなった。
・販売経路の拡充については、コストの関係もあってなかなか難しい。


■所感・要望■
全体として、丁寧に対応していただき有意義な1時間強でした。
元々私もGBFを保有しているように好感度が高いセゾン投信ですが、誠実にやられているという印象を受けました。
GBFについては大手運用会社からも低コストバランスファンドも出てきているので、単純なコスト比較での優位性は失われつつありますが、セゾン投信は独立系投信として期待している会社です。(山崎元氏もセゾン投信にコメントを寄せられていましたが、独立系投信会社として経営を成立させてほしいということはまず第一の期待です)

個別の話で非常に面白かったのは何と言っても達人です。セゾンと言えばGBFという印象でしたが、達人が非常に重要な位置づけで考えられていました。
確かにリスクがリターンを蝕むというデータもあり、リスクを抑えるという投資手法には一定の説得力があります。


なお、要望として以下のようなことをお伝えさせていただきました。
・GBFの株式部分と債券部分を分けたファンドを提供してもらえないか
この2ファンドがあれば、GBFをコアとして自分で株式や債券の比重を調整したい人は、このどちらかを加えることで望みの比率に調整できます。カレーに自分好みのスパイスをかけて辛さを調整できるカレー屋のイメージです。GBFをカレーとし、株式(債券)ファンドがスパイスです。
また、これなら同じファンドに投資するのでセゾン投信にとってもあまり難しくならないのでは?

・いずれは自動解約サービスの提供を
積立制度では積立金額は事前に決まっているので25日のファンド購入前に幾らの流入があるかはある程度読めます。これと同じで自動解約サービスを提供すれば資金の流出額も読めます。
自動積立日と自動解約日を同日にそろえれば、この差し引きができるので余計な売買を減らせるのではないでしょうか。


これからのセゾン投信はチェックしていきます。


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