データについて考えるちょうど良い題材がありました。

日本人が大人になるチャンス・・・タバコの危険性」 (武田邦彦氏)

詳しくは武田氏のブログを呼んで欲しいのですが、タバコと肺がんの関係についてを簡単にまとめると以下の通りです。

【データ】
・日本人男子の喫煙率は2分の1になった。
・日本人女子の喫煙率は変わっていない。
・男女とも肺がんにかかる人は5倍以上になった。

【考察の結論】
→女性の場合、喫煙率が変化していないのに肺がんは男性と同じ比率で増加していることから、喫煙と肺がんには強い関係がないということになる。


一見もっともらしい考察、なのですかね・・・

ここが問題1: 属性の違う2つの群の比較ではタバコの影響を測定できない
単純に男女の喫煙率の推移と肺がんの罹患者数を比較するのは極めて暴論です。
全く属性が違う2つの対象群で比較することがナンセンスです。武田氏は原発と放射線が大好きなようですが、「60歳以上の人」と「0歳児」も放射線の影響は同じと考えているのでしょうか?
男性と女性でタバコへの反応が異なる可能性もあります。男性と女性ではタバコへの影響が違うという研究結果も報告されています。人間と猿では様々な因子の違いから化学物質の与える影響が違うことが報告されています。
人間の男性と女性でも様々な因子の違いから同じ化学物質を接種しても影響が違うという化学物質もあります。(薬効で男女差はひとつの大きなテーマです)
また、男性と女性という2つの群に分けたことで、女性群にはタバコ以外の肺がん増加因子があったかもしれません。

このように2つの特性が違う群同士を比較した結果で結論を出すことは極めて困難です。

普通に考えれば、喫煙以外の条件がなるべく同じ喫煙群と非喫煙群で肺がんの罹患率を比較するのが筋です。そのような報告はいろいろあります。


ここが問題2: 肺がんの原因→肺がんの時間差
排気ガスでもタバコでもいいのですが、その物質を吸引したことと肺がん発症は同時ではありません。喫煙と肺がんは同時に発生しません。
単純にグラフを重ね合わせて一致は乱暴です。
年間数ミリシーベルト〜の放射線も浴びた瞬間にガンになるわけではありません。武田氏は、小さい子どもが年間数十ミリシーベルト〜放射線を浴びて20年後にガンになった場合には、被曝量とガンを発症した時期が重ならないから関係無しと言うのだろうか。


タバコと健康の関係にはいろいろな複雑な要因があるので、単純に良い悪いと判断しずらいテーマです。武田氏も書かれているようにデータの見方によって意見が別れることもあります。
一般的に常識とされることに挑戦することも科学です。しかし、明らかに間違ったデータの使い方をしての判断は科学的ではありません。
武田氏が示した男女の喫煙率の推移と肺がん罹患率の推移から仮説を立てるのはいいのですが、最終判断とされてしまうのはね・・・


武田氏自身が言われているように武田氏も大人になるチャンスです。


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