●参考エントリー: 週刊ダイヤモンド「負けない海外投資全指南」への補足


前回のエントリーで『週刊 ダイヤモンド 2011年 7/23号 [雑誌]』の「為替投資入門」を取り上げました。前回のエントリーでは、その分配金に対する解説を誉めました。
しかし、今回はおとします。

特集の中に909本の投信を比較するコーナーがありますがここが酷い。
●参考:「為替投資入門」の勘所 (山崎元のマルチスコープ)


まず、投資信託のリターンの算出に使っている各アセットの期待リターンが酷い。次ページ以降の「投信909評価リスト」でも肝になっていると言いながら滅茶苦茶です。
(1) 「先進国債券1〜4%、日本債券が0〜1%、米国債券1〜2%、豪州債券3〜7%、グローバル・ハイイールド債券6〜9%」となっています。各国通貨ベースのの名目リターンのままでしょうか?

(2) 株式のリターンが過剰評価です。「先進国株式8〜12%、日本株式6〜10%、米国株式8〜12%、新興国株式10〜14%、中国株式14〜18%、インド株式11〜15%、ブラジル株式17〜21%」となっています。
先進国株式でも債券から8%近い上乗せがありますが、株式のリスクプレミアムはそれほど高いのでしょうか。
しかも新興国の過大評価はすさまじい。特にブラジル株式の期待リターン17〜21%って正気でしょうか!?
ちなみに為替はどの通貨も期待リターンのプラスは無しとなっているので、どうやらブラジル株の期待リターンは円建てで17%〜21%と本気で考えているようです。


他にも酷い点はたくさんあります。
(3) 909本の投信の中に、日本株式を対象とする中で0.25%と最も低信託報酬なニッセイ日経225インデックスファンドはありません。これを無視したらダメです。

(4) 「ETF活用術」の中に人気ファンドのコストというコーナーもありますが、ファンドオブファンズの場合、投資先ファンドの信託報酬を考慮していません。
そのためにファンドオブファンズの信託報酬が一見低く見えます。野村グローバル・ハイ・イールド債券投信(資源通貨コース)の信託報酬が0.78%です。

(5) 海外ETF70本を評価しながら、極端に偏った選出です。iSharesだらけでLyxorはありません。db x-trackersも中国株だけ。インド株式がiShares BSE SENSEXだけとはどういうことでしょう。


以前書いたエントリーでも指摘したことですが、どうやら週刊ダイヤモンドは具体的に投信を評価することは苦手なようです。
スポンサーに気を使っているのでしょうか。それとも既存の情報をまとめるだけだから新人君に任せているのでしょうか。いずれにしても、この手の内容はダメですね。


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