以前も似たような記事を書きましたが、今日このテーマで話すことがありましたのでもう一度。

キャッシュを潤沢に持っている企業も数多く有ります。しかし、そのような企業がわざわざ金利支払いが発生する社債を発行して資金を調達することがあります。

一般家計の話から考えると、「なんで手持ちの現金を使わずにお金を借りるの?意味が分からない」と思うかもしれません。しかし、これは合理的な行動です。

手持ち資金を使わずに社債を利用するのは税金の関係です。多くのキャッシュを持つ企業は世界中でビジネスを行っています。
その結果、本社のある国以外の国で多くの利益を積み上げることもあります。しかし、この利益を本国に戻してしまうとその時点で税金がかかってしまいます。
仮にアメリカ企業が新興国で稼いだ利益1兆円をアメリカに戻そうとした時に法人税が35%だとすると、3500億円も税金で取られてしまいます。そのような場合、企業は外国で稼いだお金がアメリカに送金せずに外国に留まるという判断もします。

外国に1兆円のキャッシュがある状態でアメリカ企業買収を考えたとします。アメリカでお金が必要になります。その時に、外国のキャッシュを本国に送金して税金を取られた残りを使うより、社債を発行して資金を確保した方が得という局面が生まれます。

このように利益への課税を引き伸ばしながら、企業は特別な減税政策をやってくれることを虎視眈々と狙っているのです。
不景気になると企業は売上げも落ちて大変だというのは真実ですが、不況でこのような本国還流の税金を引き下げてくれると、好景気で稼いだ利益をまとめて還流して節税するチャンスでもあります。


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