投資十八番の『持ち家は「資産」なのか』に書いたコメントの延長のようなものです。

【持ち家 vs 賃貸】の議論は永遠のテーマです。しかし、この比較で私が気になっている点があります。

それは、持ち家の場合に住宅ローンを多く組むことが前提となっていることです。

住宅を買う時には住宅ローンを組む人も多いでしょう。都心の場合は平均で年収の5倍を超えているというようなニュースもあるように多くの住宅ローンを抱えるケースもあるようです。
しかし、だからと言ってそれを前提として比較するのでは【持ち家 vs 賃貸】としてはおかしい気がします。そういう比較をするなら【多額の住宅ローンを組んでの持ち家 vs 賃貸】とすべきです。

さて、暗黙の了解として設定されていた住宅ローンを無くして考えるとどうなるのでしょう?金融資産6000万円を持っていた人が4000万円の住宅をローン無しで買うような場合です。
住宅ローンを前提とした資産だと、持ち家側の費用支払いにローン金利が掛かってきます。しかし、現金一括の場合は金利分の支払いはなくなります。一般的にこの手の資産のときは借り入れ金があるのは不利になるという前提ですので、従来の住宅ローン前提の時より持ち家の評価が高くなります。


賃貸の場合、家賃相場はどうなっているでしょうか?貸し手側の立場を考えて見ます。賃貸住宅の貸し手は利益を得るために賃貸住宅経営をしています。つまり、様々な住宅取得や意地で掛かる費用に貸し手の利益を上乗せした金額が家賃となっているはずです。
 ●土地・住宅取得費用(借り入れがある場合には金利含む)
 ●維持費
 ●空室リスク等の費用
 ●貸し手の利益

仮に自分で持ち家を購入すると、空室リスクは無く、貸し手もいないので、空室リスクと貸し手の利益分は削減できます。

当然、資産を持つことで価格変動リスクを負います。しかし、これは金融商品でも同じです。自分の金融資産を株式や債券に分散投資している投資家が不動産のリスクだけを特別に扱うのはおかしいでしょう。このように考えてみると、ある程度の資産を持つ人は実は住宅を買った方が得なのかもしれないと思えてきます。


また、上記以外にも「頭金+住宅ローン vs 賃貸」の場合、賃貸側は初期に頭金で使わない分のお金を運用できるので運用益がある点も本来なら考慮されるべきですが、このあたりまで考慮された試算は一般向けの話では聞きません。


以下は余談。
持ち家vs賃貸でもよく書かれていますが、経済的な損得だけでどちらにすべきとはいえません。ライフプランや価値観によるでしょう。同じところに住んでいると1年もすると飽きてしまうような人は賃貸の方がいいでしょう。自らの意思でなくても転勤が多い仕事についている人なども賃貸の方がいいかもしれません。終の棲家と考えるならば持ち家の評価がアップです。
他にも持ち家だと自分の意思でいろいろリフォームなどできるというメリットもあり、これをどう評価するかは個々人の価値観です。


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