ジェロン(Geron)という会社をご存知でしょうか?

米ジェロン:ES細胞を臨床試験で初めて使用−脊髄損傷患者に注入というニュースで聞いた人がいるかと思います。

この会社に関する記事が日経ビジネス(2010年11月15日号)に出ていました。

記事の切り口はES細胞の話ではなく、ベンチャービジネスの話です。

日経ビジネスによると、ジェロン社は創業からの20年で20年連続赤字決算だそうです。しかもここ11年ほどは4000万ドル前後の赤字を出しており、2009年は1億4000万円の収入に対して経費が58億円で、順損失は57億円とのことです。累積債務は470億円にも達しているとのことです。こういう万年赤字の企業だとPERなどの一般の株式分析の指標も適用しにくい。このような収支状況で経営幹部が1億〜3億円の報酬を得ている点も興味深い。
(企業トップの報酬についてYahoo!Financeで確認すると、CEOで81万7千ドル、他の幹部で40万〜60万ドルというところでした)

P/Lだけ見ると、よくもこんな売上の何十倍もの赤字を出し続ける会社が存続できるな、というところですが、これを支えいているのがバンガード・グループをはじめとする投資ファンドのことです。彼らが転換社債のような仕組みを作って資金を補充し続け、その累計が7億5000万ドルと普通株の時価総額を超える金額になっているとのこと。

上で使ったYahoo!Financeで主要な株主を見ると確かにバンガードが1位で他にも投資ファンドだらけです。以下がトップ5。
VANGUARD GROUP, INC. : 4.52%
BlackRock Fund Advisors : 2.81%
BlackRock Institutional Trust Company : 2.53%
STATE STREET CORPORATION : 1.79%
MAZAMA CAPITAL MANAGEMENT, INC : 1.41%

こういう企業にどんどんお金をつぎ込むことの善し悪しは別にして、日本ではあまり大々的には行われないビジネスモデルです。
特に、赤字決算続きなのに経営幹部が数千万〜数億円の報酬を得ている(企業の年間売上より経営幹部の報酬の方が多い)ような企業というのは日本では特に嫌われそうな気がします。記事ではどこまでこのような投資ファンドが我慢できるかということが書かれていましたが、アメリカという国及び投資ファンドとしてはどう考えているのか興味があります。優秀な人材を確保するための正当な対価ということなのでしょうが、記事にもあるように我慢はどこまで・・・ですかね。


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