ネットのニュースでも取り上げられているので知っている人も多いかと思いますが、マネックス証券が「東証コロケーションサービス」の利用を開始したそうです。

なお、プレスリリースのタイトルにあるようにこれはネット証券初とのこと。
オンライン証券初「東証コロケーションサービス」の利用開始について(プレスリリース)


※コロケーションサービスとは?
英語にするとそのままColocation Service。
IT/ICTに詳しい人は知っているかもしれないが、一般的にはなじみの無い言葉でしょう。これは、【顧客のサーバや通信機器を、自社の施設内(データセンター等)に設置するサービス】です。

今回のマネックスが東証コロケーションサービスを利用する場合は、マネックスの注文処理用のサーバーを東証内に置くことになります。

Q:コロケーションサービスを使うことで何が変わるの?
A:通信処理が早くなります。板情報の取得や注文処理にかかる時間が短くなり、よりリアルタイムでのやり取りが可能になります。


コロケーションの仕組みを聞けば分かる人が多いと思いますが、なぜコロケーションだと早くなるのかをつらつらと書いてみます。

板情報取得を例に挙げて、どうやって私たちエンドユーザの元までデータがやってきているかを簡単に分けると次の5つのステップに分けられます。
Step1:東証システムで板情報を計算
Step2:ネットワークを通じて顧客(マネックス)のシステムへデータ送信
Step3:マネックスのサーバで受け取った情報を処理する
Step4:インターネット回線を通じてエンドユーザの情報端末(PC)へ情報送信
Step5:エンドユーザの情報端末(PC)で受信データ処理&画面表示
さて、この5つのステップで証券会社ではどこを改善できるでしょうか?
Step1は無理です。これは東証のシステムの問題です。アローヘッドが導入されたようにここは東証が対応する話で証券会社は手を出せません。
Step3は分かりやすく可能です。証券会社のシステムなのですからこの処理速度を上げることで、時間短縮できます。
Step4も無理です。これはエンドユーザが利用する回線の話になりますので、証券会社は手を出せません。物理的に遠いところからアクセスされていれば、そこまでインターネット回線を通じてデータを送るので時間がかかります。
Step5も無理です。これは当たり前で、ユーザがどんなスペックのPCを使うかという話で証券会社は手を出せません。

残ったStep2が、今回のコロケーションサービスで対応した部分です。上のStep4でエンドユーザのPCが物理的に遠いと時間がかかると書きましたが、これはシステム間でも同じことが言えます。
同じデータセンターで数メートルの距離でデータ通信するとデータはすぐに届きますが、あるデータセンターのシステムから数十km離れた別のデータセンターのシステムにデータ送信すると距離が離れているので時間がかかります。
そこで同じ東証内に東証のシステムとマネックスのシステムを置くことで時間の短縮化が可能になります。

アローヘッドになって、処理の短縮化はけっこう重要だと思います。アローヘッドではミリ秒レベルで情報が変わっていくので、デイトレーダーのような人には板情報取得や注文処理の速度は重要です。
特定のアルゴリズムに従って細かい差益を積み重ねようとしても通信時間がかかっていては、その注文処理を出すまでに時間がかかってしまい約定しなかったり、思っていないレートで約定したりすることがあるでしょう。


この東証コロケーションサービス利用は、いいサービス変更でしょう。
BOOM証券買収といい、こういうマネックス証券の動きは好きです。

少し前までは
 ・楽天→先陣を切るイノベーター
 ・SBI→同業他社(楽天)のサービスに常に追いつき、常に最安水準の料金を掲示
 ・マネックス→上記2社に時々ついていけない
というイメージでした。昔からマネックス証券を使っている人は「マネックスは昔は革新的でユーザのことを考えていて・・・」という人がいますが、最近は上のような状況だったでしょう。現在もマネックスが楽天証券やSBI証券の提供するサービスについていけていません。
そこでマネックスはどうするのかと思っていましたが、BOOM証券買収や東証コロケーションサービス利用のように差別化へ向かったのはGoodです。どうせ取扱商品拡充&手数料競争では楽天&SBIに勝てそうにありません。勝ち目の無い舞台へ上がるより、こういう差別化に挑戦する方が面白いでしょう。

エンドユーザにしても嬉しい話です。安い手数料が良ければ楽天やSBI、特殊なサービスを利用したければマネックスと使い分けができます。
最近のマネックス証券の動きはけっこう好きです。


【関連コンテンツ】